古に織りてし機を この夕へ 衣に縫いて 君待つ我を 2064
いにしえに おりてしはたを このゆうへ ころもにぬいて きみまつわれを
ずっと以前から織ってきた織物を、この七夕の夕べには縫い上げ、あなたが来るのを待つ私
足玉も 手玉もゆらに 織る機を 君がみけしに 縫いもあえむかも2065
あしだまも だたまもゆらに おるはたを きみがみけしに ぬひもあへむかも
足に付けた玉も、手に巻いた玉も、ゆらゆらと揺らめき鳴らしつつ織る布を
あなたの着物に縫い上げることができかしら
棚機女は神聖な職業でもありました。足玉は、足首にまいた玉で、
手玉は手首に巻いた玉です。神を迎えるための巫女の姿です。
そんな玉がゆらめきながら、美しい音を鳴らしながら機を織るという姿は、
単なる労働としての機織りではなく、女性が巫女として祭祀とかかわる
重要な仕事に関わっていたことを示しています。