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樹林地の保全と(仮称)川越市森林公園計画 – 川越市議会 議会中継 – 発言内容
樹林地の保全と川越市森林公園計画 2024年12月議会での一般質問
はじめに
川越市森林公園計画地(仮称*)とは、川越市南部に広がる武蔵野の名残りを留める貴重な雑木林の保全・活用計画ですが、平成2年度に計画の策定がなされ、その後、希少な動植物が多く発見されたことを踏まえ、平成15年度に見直しがなされましたが、整備・事業化は進んでおりません。
ここでは今でも落ち葉掃きの光景を見ることができますが、管理が行われなくなった林も目立つようになっています。また周辺では、林が売却され、資材置き場や墓地になってしまったところもあり、時代の移り変わりとともに農家の努力だけでは樹林地を維持することが難しくなっています。今見直しも含めて検討されるということで、質問をいたしました。
計画地には、コナラとくぬぎの林が広がり、アカマツ、スギ、ヒノキ、モウソウチク類が分布しています。また、ギンリョウソウ、キンラン、シュンラン、クチナシグサ、 クモキリソウなどの希少植物やオオタカなどの鳥類などが生息する、生物多様性の高い平地林です。
過去30年間の樹林地の面積の推移
市民の森の推移: 平成13年度と比較して、約2分の1に面積が減少。

- 川越市森林公園計画全体の計画面積は?
(答)40ヘクタールで、うち雑木林は約30ヘクタール。川越市が約1ヘクタール 川越土地開発公社が
9ヘクタール、約25%を取得所有しています。 - 整備が進んでいない理由は?
(答)川越市森林公園計画については計画面積が約40ヘクタールと公園の規模が大きく、全体の整備を行うためには大きな事業費が必要となり、また「なぐわし公園」などの他の大規模な事業を進めてきたことなどの状況もあり、事業化には至っていません。
*現在仮称ですが、この報告書ではわずらわしいので、
以下、仮称という言葉は省略します。
川越市森林公園計画の方向性と森林環境譲与税の使途
- 川越市森林公園計画地内の地権者数と、そのうち、近隣に住んでいる方の割合はどのくらいなのか。また地権者はどのような問題を抱えていると考えられますか?
(答)地権者は約100名、このうち、近隣にお住まいの方の割合は、高階地区、福原地区にお住まいの方を近隣といたしますと約70名、約70%です。
地権者が抱えている問題につきましては、樹林地の所有により、樹木や下草刈り等の日常管理が必要になること、また道路や隣地への倒木や枝折れ等の緊急対応などが負担になっていることが挙げられます。

- 市内の樹林地が失われているが、樹林地の所有者に対する税金や日常管理の負担を軽減するための施策は?
(答) 樹林地の所有者に対する負担軽減施策として
1. 税負担の軽減
市民の森に指定すると市が樹林地を無償で借り受ける ことから、固定資産税が全額減免されます
2. 日常管理の負担軽減
市民の森にすると、除草や樹木剪定などの維持管理 が市が行うため所有者の管理に関わる費用負担を軽減
3. 保存樹林に維持管理の一部に奨励金を交付可能。
4. 市民の森の一部ではボランティア団体による維持
管理の協力が行われている事例あり。
- 森林管理の担い手育成を市はどうサポートするか?
(答)担い手であるボランティア団体に対し、市民の森等の活躍の場所の提供や必要な資材のなどの支援、ボランティア団体が開催する講座講師として市職員を派遣する技術的支援を行っています。
また埼玉県が行っている補助金交付事業や、県主催の講習会等の情報提供を行うなど、育成支援も行っております。今後も出来る限りサポートして参りたいと考えています。
- さらに財源の話になりますが、6月の一般質問でも触れましたが、森林整備及びその促進に関する財源として森林環境税が創設され、国税として1人当たり
年額1,000円が徴収されております。
その結果、川越市には3,816万円の森林環境譲与税があり、埼玉県産の木材を使った施設の備品整備や、森林公園計画地の樹林の手入れに使われます。森林環境譲与税の更なる使い道は?
(答)木材利用の促進に要する費用として活用してい ますが、今後は、使い道として
1. 人材育成〜林業従事者への支援として研修
2. 環境教育〜森に関する講座や森林環境プログラム などに活用の見込みです。
- 森林環境譲与税を土地の取得や整備に使えるか?
(答)本公園事業の整備手法等を踏まえ、他の自治体等の取り組みの事例も研究しつつ、林野庁を始めとした関係部署等にも確認等進めます。
- 落ち葉堆肥農法に関する取り組みは? (答)落ち葉堆肥農法に取り組む市内の農家への支援
1. ナラ枯れ防除対策支援補助金
2. 武蔵野の落ち葉堆肥農法推進協議会の補助金
3. 落ち葉掃きの体験開催
4. 各種イベントでのPR活動
新たに落ち葉堆肥農法に取り組む農業者へは実践農業者認定制度や支援策の普及・啓発に努めます。 - 川越市森林公園については、今後どのように進めていくのでしょうか。
(答)平成15年度の計画見直しから20年以上が経過し、その間に利用状況や市民ニーズ、社会状況も変化してきました。これらの要素を考慮し、雑木林の保全を図るために計画の見直しを検討したいと考えています。本計画の見直しにつきましては、今後、庁内での検討なども踏まえ、方向性の検討を進めてまいりたいと思っておりますが、その際には学識経験者や地元住民、各種団体の代表になって構成する協議会を設置するなど、多角的な方面からのご意見を聴取していくことを検討してまいりたいと考えております。
議案第111号質疑: 川越市客引き行為等の防止に関する条例について
議案111号「川越市客引き行為等の防止に関する条例を定めることについて」質疑しました。

- 条例を制定する目的
近年、市内繁華街であるクレアモール周辺において、多くの客引き行為が発生し、市民の安心で快適な通行環境が妨げられている状況にあります。これが、市民生活における不安材料の一つとなっており、公共の場所における客引き行為等の防止を図り、市民が安心して公共の場所を通行できる環境を確保することを目的に、本条例が制定されようとしています。 - 商店街や市民からの要望
商店街からは、クレアモールでの客引きが通行の妨げになっていることや、利用者が不安を覚えていることから、悪質な客引きを制限し、安心・安全に通行できる環境を求める要望が寄せられています。また、市民からも客引き行為への不快感や夜間歩行の困難さに関する声があり、対応を求める要望が多く寄せられています。 - 実態調査の概要と結果
令和4年12月から令和6年10月にかけて、夜間のクレアモールにおいて19回の職員による調査が実施されました。調査結果では、令和6年には客引き行為を行っている人数が1回につき10人から20人確認され、主にキャバクラや居酒屋、カラオケ店などが関与していることがわかりました。 - 他市への調査や視察
令和4年度と令和6年度に、全国の市及び特別区に照会を行い、客引き行為等の防止を目的とした条例の内容や運用状況を調査しました。また、所沢市や東京都
北区への視察も行い、制度の内容やパトロール状況を確認しています。全国で44の市及び特別区で同様の条例が制定されており、県内では所沢市が令和2年に施行しています。
- 実態調査やアンケートの結果から市の認識
実態調査やアンケートの結果から、夜間のクレアモールにおいて客引き行為者が一定程度存在し、その行為が通行の妨害や市民の不安感を煽っていることが問題であると認識しています。 - 店先でのチラシ配布の位置づけ
本条例における「客引き行為」は、通行人を特定し平穏な通行を妨げることを指します。したがって、店先でのチラシ配布は相手方を特定しない広報活動と見なされ、本条例の禁止行為には該当しません。 - 他の条例との違い
埼玉県迷惑行為防止条例や風営法との主な違いは、禁止行為の対象や業種の区別にあります。本市条例では、平和な通行を妨げるような態様での客引きを禁止しており、業種に関係なく適用されます。また、罰則についても、県条例や風営法は刑事罰であるのに対し、本市条例では過料を課すことが定められています。 - 市内全域に禁止行為を規定する理由
禁止行為は区域に関わらず行われる可能性があり、その行為の是非は区域によって変わることがないため、禁止行為の対象区域を限定しないこととしました。重点区域としてはクレアモール周辺を想定しています。
- 指導、勧告、命令、公表、過料の実施方法
重点区域内で客引き行為を発見した場合、基本的には口頭での指導を行い、必要に応じて書面による指導を行います。指導記録を作成し、違反履歴の有無を確認し、繰り返す場合には勧告や命令、過料の処分を行います。指導等は市職員が行い、口頭指導は指定した指導員も行うことを想定しています。 - パトロール業務委託の内容と費用
所沢市では、令和2年度から令和4年度にかけて、パトロール業務を実施していました。令和4年度の実施内容としては、市の職員1名と委託業者の警備員3名が、原則毎週火曜日から土曜日の午後5時から午後10時まで、月20日間のパトロールを行っていました。この業務委託にかかる費用は、令和4年度の決算額で約2,200万円と確認されています。なお、令和5年度からは業務委託を行わず、会計年度任用職員1名を含む専任の市職員2名を配置し、パトロールを実施しています。 - 条例制定後の対策としての事業費
本市では、条例制定後の対策として、商店街との定期的な巡回に係るパトロール用品の購入費や保険料を見込んでいます。また、客引き防止の周知啓発にかかるチラシや看板の作成費、キャンペーン実施時の啓発品の購入費も計上されています。 - PR活動の実施方法
PR活動については、広報川越や市のホームページを通じて、キャンペーン等を実施し、市民や事業者に対して「客引きをしない」「させない」「利用しない」ことを周知します。さらに、看板の設置や放送、店舗への啓発チラシの配布を行い、事業者に対して客引き防止を呼びかける予定です。 - 今後のスケジュール
令和7年4月1日に本条例を施行し、指導等の規定は7月1日から施行される予定です。条例施行に向けては、令和6年度内に条例施行規定及び重点区域の指定に関する意見公募を行い、施行後速やかに重点区域の指定を行う計画です。また、重点区域においては客引き防止のキャンペーンを実施し、指導等の規定の施行に向けた準備を進めていく考えです。