議会での質問内容を動画でご覧になりたい方は以下のリンクをご参照ください。
令和7年度川越市一般会計予算: 初雁自由政令会を代表した私の質疑の抜粋
質問1: 令和7年度予算は骨格予算としての特徴は?
令和7年度一般会計予算は、人件費や公債費などの
義務的経費や継続事業を中心にしつつ、市民生活や地域経済に大きな影響が生じないよう編成したもので、子ども・子育て施策の推進や都市基盤の整備とともに、市民センター建設、地域経済の活性化、オーバーツーリズム対策等の取組に重点的に予算を配分しました。
歳入は、その約半分を構成する市税について、雇用や所得環境の改善が続く中、定額減税が終了する影響等により、約37億円の増と見込んだ一方で、定額減税による減収分の補填もなくなり地方特例交付金を約15億円の減と見込みました。そのほか、繰入金として財政調整基金を28億3千万円、繰越金を10億円計上する等の財源対策を講じました。
歳出は、民生費が児童手当などの増により、前年度比約45億円増の約624億円で、過去最大であった前年度をさらに上回ったほか、総務費が仮称芳野市民センター建設などの増により約13億円の増、土木費が南古谷駅周辺地区整備などの増により、約12億円の増です。
この結果、令和7年度一般会計予算は前年度比86億2千万円増の1,369億7千万円となり、過去最大の予算規模となりました。
質問2: 経常収支比率を踏まえた上で予算編成の考え方
令和5年度決算における経常収支比率は99.8%となっており、さらに数値が上昇した場合には、市単独事業の実施や臨時的な財政需要への対応が困難になると想定されます。今後の将来的な財政負担や社会状況の変化を見据え、事業内容の見直しが可能な場合には、最少の経費で最大の効果を挙げることなど、行財政改革の取り組みを意識して予算編成を行いました。
質問3: 予算要求額と歳入見込額との乖離解消の取組み
令和7年度一般会計予算の歳入の要求総額は約1,360億円に対し、歳出の要求総額が約1,458億円。その差額は約98億円でした。この差額を解消するために、緊急性や優先度等を考慮し経費の圧縮を図ったほか、物件費などの経常的な経費について、市民生活にできるだけ影響が及ばないように縮減を行い、また、繰入金として財政調整基金を28億3千万円、繰越金を10億円計上する等の財源対策を講じました。
質問4: 歳入を増やすための取組みを確認したい
ふるさと納税や企業版ふるさと納税の拡充による寄附金収入の増、基金の債券運用や公有地利活用計画に基づく市有地の貸付、売却などに引き続き取り組むことに加え、新たな市有地の活用による財産収入の増など、新たな歳入確保を検討してまいります。市税については、収納率の向上への取組を進め、企業誘致に向けた経済波及効果等調査などの事業を新たに実施いたします。
質問5: 市税の収納率向上のための取組を確認したい
納税環境の利便性の向上を図るため、従前から推進しております口座振替やコンビニ収納に加え、納付に際して場所の制約を受けないスマートフォン決済アプリなどの電子納付も可能に整備しました。一方、滞納を減少させるため、法に基づく督促状のほか、文書催告、自動音声電話や携帯電話のショートメッセージサービスを用いた催告を行っております。生活困窮などにより徴収が困難な場合は、納税の緩和措置により不良債権の圧縮を図り、収納率の向上を図っています。
質問6: 行財政改革推進計画アクションプランによる見直しは?
見直し対象の38の事務事業のうち、長寿祝い金事業、自転車シェアリング事業等は完了しており、約2億9千万円の削減効果がありました。見直しには、市民や関係者に丁寧な説明を行うなど慎重に検討を行う必要も
あることから時間を要している点が課題です。
質問7: 令和7年度予算において、国や県からの支出金で特徴的なものは?
国庫負担金では児童手当の拡充による児童手当国庫負担金の約15億9千万円の増、国庫補助金ではマイナンバーカード更新体制の増強による戸籍住民基本台帳費補助金の約2億2千万円の増等があげられます。
また、県支出金のうち、県負担金では介護給付・訓練等給付費の給付増額による障害者自立支援給付費負担金の約2億8千万円の増、委託金では5年に一度の国勢調査事務の実施による統計調査費委託金の約1億7千万円の増等があげられます。
市としては、これら国や県の支出金を最大限に活用しながら、その他の財源も積極的に活用した上で、事業の執行に努めてまいります。
質問8: 市債による歳入の増要因と市債残高の増要因は?
令和7年度当初予算の市債は、小・中学校体育館空調設備等整備や南古谷駅周辺地区整備、高等学校改修整備など、災害に対応する防災・減災事業、社会基盤整備、社会資本マネジメントに基づく公共施設の更新、長寿命化事業など本市として実施すべき事業への取組の結果、市債の借入総額が約114億円となり、前年度に比べ約31億円増加しました。
市債残高は、これらの事業へ取り組むことにより、市債の借入額が公債費の元金償還額を上回り、市債残高が約21億円増加することとなります。
「オーバーツーリズム対策事業と回遊型観光」 (令和7年3月議会一般質問より)
私、小林範子は、2023年4月の市議会選挙で当選させていただいてからの2年間、年4回開かれる市議会で毎回一般質問を行ってまいりました。
一般質問とは、川越市が抱えるさまざまな課題について市当局に質問し、その考えを知り、今後の政策に生かしていこうとするものです。 本号では、就任からちょうど2年が過ぎ、テーマも関連したところがありますので、この2025年3月議会で私が行った一般質問の内容について概略ご説明するとともに、過去の一般質問からも一部についてご報告したいと思います。
令和6年の川越市入込観光客数は、7,358,000人、対前年比102.32%(令和5年7,191,000人)で、国内観光客数は6,659,000人、対前年比101.26%(令和5年6,576,000人)です。また外国人観光客数(推計)699,000人、対前年比113.66%(令和5年615,000人)です。令和6年には、観光庁が実施する「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」の先駆モデル型に川越市が採択され、昨年6月の補正予算で総額約1億2000万円の事業が行われました。
こうして、スマートバス停の設置や、スマートゴミ箱の設置などが行われました。令和7年度には、駐車場の混雑・満空状況や、観光情報の一元的発信、多様な観光拠点への誘客促進をするAR体験型コンテンツやデジタル
マップ等を活用したオーバーツーリズム対策事業が行われます。
さらに、北部市街地(一番街周辺)交通対策として地域住民との協議を経て、令和7年度の交通対策案として、
一番街において、5月の大型連休と11月の連休および
土日を合わせて6日間、歩行者天国がいよいよ試行的に行われます。
歩行者天国は、単なる交通対策にとどまらず、目標とするところは、川越が持続的に発展してゆくため、市民にも観光客にも「歩いて楽しいまち」を実現していく
ことだと思います。そして「観光で稼げるまち」にしていけることだと思います。
今後は回遊性を促し、滞在型観光を促進するために、ハード面だけでなく、ソフト面にも助成金などを活用する必要があります。また例えば川越を訪れる外国人が、様々な文化体験を官民連携で行えれば、活動を広め、
資金も増やすことができると思います。
また、市内の小中学生をはじめとする子供たちにとって、自らの文化や歴史を学び、英語で発信する機会は、他の市町村と比べて圧倒的に高い。蔵の街の外国人観光客と「生きた英語」で触れ合う機会を作り、英語学習のレベルアップにつなげ、郷土への誇りを持つ児童を育てることにつなげる取り組みも重要なことと思います。

「中央公民館分室の価値と利活用」
さて、私、小林は、令和6年9月議会で「中央公民館分室の有効活用」について一般質問しました。
蓮馨寺裏、六軒町2丁目15番地1にある中央公民館分室は川越の貴重な歴史的建造物ですが、今は老朽化のため使用停止、意外に知られていない建物です。
この中央公民館分室の建物は、東京三田に久松定謨(ひさまつさだこと)伯爵邸として建てられた由緒ある
和風建築です。久松定謨氏は、かつて松山藩主であった久松家当主で、長く陸軍武官としてフランスに駐在、そのためかハイカラ趣味で、大正時代、松山城の麓に萬翠荘(ばんすいそう)という鉄筋コンクリート造りのフランス風洋館を別邸として建設した人物です。この萬翠荘は、現在、国の重要文化財になっています。
ちなみに久松家は久松松平家といい、藩祖久松定勝の母は徳川家康の母、於大の方です。つまり、定勝と家康は異父兄弟です。いうまでもありませんが、川越市は徳川家康とのゆかりが深く、この分室は、本丸御殿や喜多院などの歴史建造物とも深いつながりがあります。
中央公民館分室は、その久松定謨伯爵の東京三田の
本宅を、文豪小泉八雲、別名ラフカディオ・ハーンの長男小泉一雄氏が昭和3年に三橋村(大宮市)へ移し、その後、昭和14年に「山吉」で知られる呉服太物商渡辺吉右衛門氏によって、川越に移築された建物です。
埼玉県内初のデパート建築、一番街にある「山吉ビル」(現在は保刈歯科醫院が入っている)との関わりも含め、中央公民館分室は、歴史的風致の観点からも貴重であることから、様々な可能性を持つ施設と言えます。
南側には素晴らしい日本庭園が配置されていますが、ふすまの引き手金具などには、見事な金工細工の松竹梅が彫られています。さすがに伯爵邸、見どころの多い
和風建築です。
さて、帰化して小泉八雲となった文豪ラフカディオ・ハーンは、1850年、ギリシャのイオニア諸島レフカス島に生まれました。
父はアイルランド出身で、イギリス軍の軍医。母は
マルタ島生まれで、アラブの血も混じっていたと伝えられています。やがて、ハーンはニューオーリンズに移住しました。この地はハーンにとって重要な都市で、各国・各地域の文化が混じり合うこの街で10年間を過ごしました。
万国博覧会が開催された折、『古事記』を読んで日本に関心を持つようになりました。松江でセツに会い、結婚。
セツとの出会いは決定的で、ハーンは日本に永住することになったのです。やがて子供が生まれ、ハーンは
帰化して小泉八雲となり、自然と共存する人間の姿など日本を愛し、『怪談』などを著して世界に発信しました。
小泉八雲の長男である一雄氏は文筆家で、一雄氏の
長男、小泉時氏(ハーンの孫になります)の著書『ヘルンと私』のなかには、まさにこの中央公民館分室の建物の部屋の写真があり、そこに小泉八雲が実際執筆に使用
していた机が掲載されているのです。
したがって、観光回遊案として「豪商の道すじルート」を作り、丹徳庭園、山崎別邸などと東西につなぐことで、南北の蔵の街の通りのオーバーツーリズムという課題の解決にもつながっていきます。そのためには、小泉
八雲ゆかりの中央公民館分室の建物をどう活用するかが重要です。
日本には、現在、松江、焼津等に小泉八雲記念館がありますが、川越にも小泉八雲記念館を作ることができるわけです。今年後期のNHK朝ドラ『ばけばけ』の主人公は、小泉八雲の妻「セツ」がモデルですから、全国から人を
呼び込み、宿泊型観光を促進する良いきっかけになるのではと思います。
このように、持続可能な観光のグランドデザインとして、また、オーバーツーリズム解消のための回遊ルートとして、「豪商の道すじルート」を作り、その重要な核として中央公民館分室を位置付けることができれば素晴らしいと思います。