第十巻秋の雑歌には七夕や天の川を歌った歌が
九十八首もおさめられています。一年にたった一度の
この七夕の夜、日本の七夕伝説では、彦星の方が
天の川を渡って織女のもとにやって来るというのですが…。
「天の川がね、去年は歩いて渡る浅瀬があったのに、
その浅瀬が移ってしまっていてね。川の水の浅いところを
探してしていたら、こんなに深くなってしまったのだよ」
天の川を渡る方法は、舟を使うか、橋を渡るか、
川を歩いて渡るかの三通り。それに、七夕歌には、
一つの見事なシナリオでできあがっている歌の群もあります。
そうしたなか、いろいろ解釈できそうですが、
弁解がましい、しかし、いかにもありそう、
とても愛し合っている二人です。それだけに、傍から見ると、
とても大げさで、何だか少しおかしくもある、
でもやはり、すばらしい恋の歌です。