「オーバーツーリズム対策事業」について 質疑しました。 議案第79号令和6年度川越市一般会計補正予算(第2号)質疑

2024年6月7日の質疑で、観光庁が実施する「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」における先駆モデル型に川越市が申請し、全国20地域の一つとして採択が決定されれました。詳しくお聞きしました。総額1億1991万8千円(国から約八千万円、市からも役四千万円)を計上した、「オーバーツーリズム対策事業」、どんな内容なのか是非、答弁をきいてみてください。

1問目、観光庁のオーバーツーリズム対策事業に事業申請をした経緯、目的について伺いたい。
 答弁(産業観光部 観光課)
本市における観光客の増加に伴う課題への対策につきましては、従前からゴールデンウィーク期間を中心に実施してきたところでございます。
しかしながら、その他の期間におきましても、新型コロナウィルスの収束における急激な観光客数の増加に伴い、特に休日の日中においては、一番街を中心にして車両と人の錯綜等による危険な状態等の発生、観光客のマナーの悪化が見られる状況であり、総合的な対策の必要性が生じているところでございます。そこで、今回観光庁の当補助金を活用してオーバーツーリズム対策を包括的に実施することとしたものでございます。
手続きといたしましては、本年1月に一次公募が開始され、2月に申請を行い、3月に「先駆モデル事業地域型」の20地域の1つとして採用されました。。 その後、地域関係者との懇談会等を実施し、対策計画を取りまとめ、5月に提出したところでございます。
2問目、  今年度の4月下旬と5月に行われた懇談会について、会議の内容と参加団体からの意見についてお伺いしたい。
 答弁(産業観光部 観光課)
はじめに、懇談会の内容につきましては、観光関連団体、交通事業者、住民団体、商店等の関係者を委員として、本市のオーバーツーリズムに関する課題や観光庁に提出する対策計画案に対するご意見等をいただいたところでございます。参加団体からの意見については、主なものは以下の通り。
持続的な観光の発展が非常に大切である
住民、商店街、関連事業者等、様々な関係者の連携が重要
交通問題は地域住民のことも踏まえた対策が必要である
ゴミ対策については我々商店の責任において処理すべきだと思っている
マナーは、観光客に対してだけでなく、事業者側も一緒にやらなければならない
3問目、 懇談会において、オーバーツーリズムに関する現状の認識について、バス会社や鉄道の事業者からどのような意見があったのか。(産業観光部 観光課)
 答弁(産業観光部 観光課)
懇談会におけるバスや鉄道事業者からの主の意見について
オーバーツーリズム対策に関しては、公共交通である鉄道の利用者を伸ばした方が良い
最近の一番街の観光客増加に伴い、バスの運行が非常に危険な状態になっている
・車道に歩行者がはみ出し、車道が歩道になってしまうと言う状況でバスが来ると、すれ違うことができず、運行が止まってしまうため、遅延が発生している。
来訪のお客様の 利便性を向上させたいと考えており、引き続き課題感を持って取り組んでいきたい
4問目「駐車場の混雑・満空情報の情報環境整備について」1657万7千円が計上されていますが、駐車場の混雑・満空情報の情報環境整備について事業の詳細をうかがたい。
  答弁(産業観光部 観光課)
本市が観光駐車場として管理している、土曜・日曜・祝日の市庁舎北側・南側駐車場及びあぐれっしゅ川越と共同の観光用無料駐車場において、混雑や満空状況を把握できる情報環境を整備するものでございます。具体的には観光用無料駐車場の入り口付近に・満空情報を表示することに加えて、同駐車場及び土曜・日曜・祝日の市庁舎北側・南側駐車場の満空情報のデータできる機器を取り付けるものでございます。
5問目 「多様な観光拠点への誘客促進」に1000万円が計上されていますが、どのような観光拠点へどの様な方法で誘客を促進するのか伺いたい。
  答弁(産業観光部 観光課)
はじめに、対象とする観光拠点につきましては、中心市街地内では、中心市街地周辺地域及び川越城本丸御殿地域、郊外では伊佐沼周辺地域を中心に考えております。
次に、誘客促進の方法につきましては、地域の関係者との協議も踏まえ決定することとしておりますが、ARやVR等のデジタル技術を活用した内容を検討することとしております。
また、観光客が集中している一番街からの回遊性を強化するため、案内看板を設置すること等により、誘客促進を図って参りたいと考えております。
6問目 「ごみポイ捨て対策支援」に1060万円が計上されておりますが、「商店街等のごみ改修とスマートゴミ箱の設置に関する支援の内容をそれぞれ伺いたい。また、これらの支援を、今後どの様に継続してゆくのか伺いたい。
   答弁(産業観光部 観光課)
ゴミポイ捨て防止支援策についてでございます。商店街等が実施主体として想定される、ゴミ回収始めとしたポイ捨て防止対策活動に関わる経費やゴミが溜まると自動で圧縮する機能等を有するスマートゴミ箱の導入にかかる経費に対して、補助金を交付する形での支援を予定しております。今後の支援につきましては、来年度以降も商店街等の関係者と協議の場を設けること等により、継続的な支援をして参りたいと考えております。
7問目、「デジタルマップ制作」に620万円が計上されておりますが、川越市デジタルマップとはどの様なものか伺いたい。
答弁(産業観光部 観光課)
デジタルマップとは、紙の地図とは異なり、パソコンやスマートフォン等のブラウザ上で見ることができるデジタル形式の地図でございます。
当マップ上において、多様な観光スポットやトイレ設置箇所等の位置情報や、交通駐車場情報とのデータ連携による交通・混雑等のリアルタイム情報マップ上に掲載することにより、観光客が、旅前、旅中において、効果的で活用しやすい市内観光情報を入手し、時間や場所の分散化、観光客の利便性及び満足度の向上を図ろうとするものでございます。
8問目、「マナー等向上事業」200万円が計上されておりますが、文化圏の違う方たちへのマナー周知の手法について、どの様に考えている伺いたい。また本事業を実施するにあたり周知方法についても伺いたい。
答弁(産業観光部 観光課)
マナー向上についてわかりやすく周知するため、動画を活用して周知することを予定しております。 本市の外国人観光客は様々な言語圏から訪れており、あらゆる言語での対応は困難なことから、ピクトグラム等を活用し、動作によりわかりやすい内容とすることを考えております。
また周知方法につきましては、市や小江戸川越観光協会のウェブサイト・ SNSにおいて発信するほか、観光バス、店舗等での発信の協力を依頼することなどにより、 広く周知を図って参りたいと考えております。
このほか宗教・風俗・習慣など文化が違う方々には、マナー向上の取り組みとして、伝統・文化をわかりやすく理解してもらう方策も検討して参りたいと考えております。
9問目、 市内には観光を推進する団体等があると思うが、(観光協会など)その様な団体との連携はどのように考えているのか伺いたい。
答弁(産業観光部 観光課)
観光関連団体につきましては、懇談会の構成員となっていただいた団体を中心に、対策事業の効果測定等に関わるデータの収集・分析や混雑状況・デジタルマップとの情報発信に置いて、連携を図るとともに、継続的にオーバーツーリズム対策に関する協議を重ね、次年度以降の効果的な対策について検討します。
10問目、 今後、市内の地域団体、事業者、商店街、自治会などの意見を聞きながら、事業を進めてゆくことが重要であると思うが、どのように考えているのか。
答弁(産業観光部 観光課)
今後、関係者から意見を聞きながら事業を進めていくことについての考えてございます。
取り組もうとしている対策の中には当然、今年度だけでは完了しないものもございますので、今回の対策の策定に関し、ご意見をいただいた懇談会、協議会の皆様とは、今後も継続して協議し、ご意見を伺い、効果的な事業を実施して参ります。
11問目、 オーバーツーリズム対策事業に関わる事業経費について、改めて、補助金が交付される部分以外の財源は、どの様に対応するのか伺いたい。
答弁(財政部 財政課)
本事業につきましては、観光庁が実施する「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する持続可能な観光推進事業」の先駆モデル地域型に本市が採択されたことに伴い、関連経費の3分の2が交付されたものでございます。 本補正予算につきまして、当該事業費として1億1991万8,000円を計上しておりますが、その3分の2に相当する7994万5,000円を特定財源として計上するとともに、その残額の3397万3,000円は一般財源として財政調整基金からの繰入金により対応したところでございます。
12問目、「北部市街地交通対策に関する調査検討」について、2509万1千円が計上されております。北部市街地交通対策に関する検討について、過去の調査も含め、実施する経緯を伺いたい。
答弁(都市計画部 交通政策課)
北部市街地交通対策に関する検討経緯について、市では、平成19年に北部中心市街地の交通円滑化方策について検討するための検討委員会を設置し、平成21年の交通社会実験を経て、平成23年には同委員会により「一番街を終日北から南への一方通行とし、また、春季および秋季における一定の日曜・祝日の日を歩行者天国にする」との提言書が提出されました。これに対し住民の反対運動が起こったことを受け、 公安委員会等の関係機関の意見も踏まえ、市としては提言は尊重するものの、一方通行等の即時実施はせず、交通量の緩和策等に取り組みながら段階的に進めていく方針を公表いたしました。
同方針を踏まえ、まずは中心市街地の交通環境の向上を図るため、埼玉県による北環状線整備などの都市計画道路の整備や小仙波東交差点等の改良事業、パークアンドライドの推進等による自動車流入抑制対策等に取り組んできたところでございます。
一方で、コロナ後の観光客数の増加もあり、一番街周辺の安全安心な交通環境の確保が喫緊の課題となる中で、国の施策も活用して、交通量調査の実施やさらなる交通円滑化策に取り組みながら、地域の皆様とともに、北部市街地における交通規制等のあり方について検討して参りたいと考えております。
なお、交通量調査は、平成28年に川越市都市・地域総合交通戦略の策定を目的として実施いたしましたが、平成31年に県道川越北環状線が全線開通するなど道路環境も変わってきたことから、今回改めて実施するものでございます。
13問目、「交通シュミレーション調査」に650万円が計上されていますが、交通シュミレーション調査とはどのようなシュミレーションなのか。また、今後どの様に活用してゆくのか伺いたい。
答弁(交通政策課)
交通シミュレーションについては、一般的に、交通対策の実施に先立って、当該対策案を実施することにより、車の流れの変化や主要交差点における渋滞状況、バスの遅延等の周辺交通に与える影響データ分析し、対策案の妥当性を検証するために行うものであり、今回実施する予定の交通量調査の結果をもとに、複数の交通規制案について、実施した場合に生じる周辺交通消への影響を分析し、その結果を踏まえ、北部市街地における交通規制の方法や条件、影響を緩和させるための交通円滑化策について検討してまいります。
14問目「パークアンドライド事業の拡張性等に関する調査検討」に約2002万3千円計上されておりますが、これまでの経緯と、調査内容を伺いたい。また、既存のバス路線や駐車場を活かした方策について、どのように考えているのか伺いたい。
答弁(都市計画部交通政策課)
パークアンドライド事業に関わる取り組む経緯と今回の調査内容等について、本市においてはこれまでもあぐれっしゅ川越において、パークアンドライド事業を実施しており、また令和5年3月には、春季秋季の観光シーズン通におけるパークアンドライド事業の強化策を検討するため、実証実験を実施して参りました。
実証実験の結果から、郊外型駐車場が不足するのは、観光客の集中する休日やイベント時にかぎられる中で、恒常的な駐車場を新たに整備するだけでなく、民間駐車場含めた既存の駐車場を活用する必要性や、中心市街地等の目的までの移動手段として既存のバス路線を活用することについて、検討が必要との結論にいたりました。
こうしたことを踏まえ、今回の調査では、駐車場やバス路線など、既存のインフラを有効活用することを前提として、北部市街地内の観光用駐車場の現状調査と、市街地に流入する車両ナンバープレート調査を実施し、必要な駐車台数や効果的な位置等を分析した上で、郊外型駐車場の候補地の選定や導入手法について検討して参りたいと考えております。
15問目「歩行観光の改善による回遊性の向上に関する調査検討」(900万円が計上)について、時の鐘を中心とした130hの地区とはどこを指すのか。また回遊性の向上に関わる基本的な計画の概要、目的と 今後の事業展開について伺いたい。
答弁(建設部 道路街路課)
回遊性の向上に関する調査についてで、時の鐘を中心とした130ヘクタールの地区つきましては、北部市街地の歴史的な街並みの保全と一体となった道すじを街路整備として取り組んでおります「歴史的地区環境整備街路事業地区」で、いわゆるれき道地区でございます。
基本的な計画の概要につきましては、街路整備として取り組んで参りました電線類地中化や道路美装化等の実績を整理し、今後推進する路線の抽出や優先順位の評価等を取りまとめる予定でおり、無電柱化の推進と地区内における歩行環境の改善による回遊性の向上や観光客の分散化を図ることを目的としております。
事業展開につきましては、今回の調査検討を踏まえ、具体的な実施に向けた方針等立案し、オーバーツーリズム関連事業と連携を図りながら、効果的な手法の実施に向け取り組んで参りたいと考えております。
16問目 本事業の中で「低利用空地の活用による滞留空間の創出に向けた調査や実証実験」について」どの様な調査や実証実験を行うのか。
答弁 (都市計画部都市景観課)
伝建地区内の低利用空地の活用による滞留空間の創出について、一番街を始めとする道路の混雑解消を図るためには、店舗の行列客や歩行者が身を置けるスペースを確保することが必要であると考えております。
本市では、これまでもポケットパークや広場を整備して参りましたが、さらなる滞留スペースの創出を図るため、伝建地区内の特徴でもある町屋の中庭や商店街背後の緑地等の活用可能性を検討するため、まずは有効活用されていない低利用空地の利用状況等の実態把握と土地及び建物の所有者への滞在空間としてオープンスペース化に関わる意向調査を行った上で、取り組みにご協力いただける民有地の活用と観客の誘導策に関わる実証実験を行い、一番街をはじめとする道路空間の混雑解消効果と今後の実効性について確認するものでございます。
なお、地元の川越街並み委員会の自主ルールである「町づくり規範」では「店舗導入部の空間づくり」のルールにより店内の来店客を招き入れることが推奨されておりますので、川越街並み委員会とともに地区のルール化の可能性についても検討して参りたいと考えております。