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人と環境に配慮した道づくり ~緑の木陰と無電柱化とほこみち~
オーバーツーリズム対策事業について
人と環境に配慮した道づくり~緑の木陰と無電柱化とほこみち~
令和6年、第3回定例会では、「ほこみち」(歩行者利便増進道路制度)について一般質問しました。ほこみちとは歩行者を大切にする道路空間のことです。質問の趣旨は次の通りです。
今や車中心社会から人間中心社会へ大きく舵が切られはじめています。人々が歩いて楽しい街を目指す上で、道路の役割は極めて重要です。地球温暖化防止のために外出時の車利用を自転車や公共機関に切り替える努力も必要とされていますが、現在の道路は歩行者や自転車に優しいとはいえません。
街路樹のある道路空間を街の活性化に利用、歩道にカフェやベンチ、キッチンカーを置き、ゆっくり滞在できる空間、居心地が良く歩きたくなるまちなか空間の創出が望まれます。そのためには行政・警察・テナント・地区住民など関係者間でまちづくりビジョンを共有、官民一体の取り組みが期待されます。良好な公共空間を形成するような、まちの価値を高める道のあり方を検討することが重要です。
街路樹の維持管理には毎年、約1億3,000万円の予算が必要となります。
苦情対応にあわせた街路樹管理にならず、市が街路樹や緑に対してどうしていきたいのか、あらためて方向性を示すことが大切です。
また、無電柱化の促進も、この問題と大いに関わりがあります。防災面のメリット、歩行者と自転車の安全、美しい景観を作ることができるということもあり、無電柱化を引き続き進めてほしいと思います。そして、路線ごとでなく、川越市全体をとらえた無電柱化の計画策定が期待されます。その際、無電柱化のデメリットであるコスト高や工期の長さなども克服できる手法を組み合わせ、計画が促進されることを期待しています。
さらに無電柱化事業と併せ、ベンチなどを設置したり、景観への配慮からガードレールを木製防護柵にすることも観光客や地元住民が歩いて楽しい街を目指す上で素晴らしいことです。また、川越市に贈与される森林環境贈与税を更に有効的に活用していただけたらと思います。
1問目:街路樹が植樹されている市道はどういう路線にあるのか。また樹木の種類について伺いたい。
回答:街路樹が植樹されている路線の多くは、一定程度の幅員の歩道を備えた路線です。そうした路線の中でも、面的なまちづくりと一体的に整備された都市計画道路で、連続的に植樹されております。樹木の種類については、イチョウやケヤキ、サクラなどが主です。
具体的な例を挙げると、砂新田の1丁目と2丁目。土地区画整理事業を行った区域の「いちょう通り」。また県道川越日高線から吉田新町2丁目にいたる「おいせ橋通り」のサクラとケヤキ。さらに
鶴ヶ島駅前から県道川越越生線に至る「けやき通り」などです。
2問目:市道における街路樹の管理方法、剪定回数について、また維持管理にかかわる予算の推移について伺いたい。
回答:街路樹の管理については、様々な街路の適切な選定や管理を行うため、専門の造園業者に通年で街路樹選定管理業務を委託。業務委託の中で行う選定については、樹種により時期は異なりますが、概ね年1回。また街路樹剪定管理業務委託に関わる当初予算の推移は、令和4年が1億4,000万円、令和5年が1億3,000万円、令和6年度が1億3,000万円です。
3問目:市道における街路樹に関するご意見は、具体的にどのようなものか。
回答:落ち葉が自宅の雨どいに詰まってしまう、雨に濡れた落ち葉が滑りやすくなる、街路樹の枝が伸びて交差点等の見通しが悪いなどといった意見や、落葉が始まる前に強く剪定して欲しいとの意見などがあります。一方で、強い剪定による樹形の乱れなどについての苦情も寄せられています。
4問目:専門家の意見を踏まえた街路樹管理について、市の考えを伺いたい。
回答:街路樹の健全性につきましては、外見からの把握が困難な場合もあり、過去には、「けやき通り」において、樹木医による診断を行っています。今後も、必要に応じて専門家に意見を求めるなど、街路樹の適正な管理に努めます。
5問目:市道整備において、これまでに取り組んできた無電柱化事業の概要について伺いたい。
回答:無電柱化については、これまでに、単独地中化方式、自治体管路方式及び、電線共同溝方式のいずれかを採用し、19路線、延長約6kmの整備を実施しております。最近の実績といたしましては、平成25年度から平成27年度にかけて、喜多院門前通り線、平成28年度から本年度にかけて、市立川越高校東側を通る都市計画道路川越駅南大塚線で実施しています。
6問目:無電柱化事業について、目的と効果について伺いたい。また課題についても伺いたい。
回答:無電柱化の目的につきましては「防災」、「安全・快適」、「景観」の観点から道路の機能を向上するものです。その効果としては「道路の安全性の向上」、「通行空間の安全性・快適性の確保」、「良好な景観形成」、「情報通信ネットワークの信頼性向上」が図られます。また、地中化方式による無電柱化での主な課題につきましては、整備にかかる費用が高くなることや工期が長くなってしまうことのほか、水道やガスの事業者との調整、無電柱化に伴う地上機器の設置場所などの地元調整に時間を要することなどがあります。
7問目:無電柱化事業にあわせて街路樹を植樹、ベンチなどの休憩スペースの設置は可能なのか伺いたい。また景観への配慮が必要な場合、木製防護柵にすることができないのか伺いたい。
回答:地中化方式による無電柱化では、地上空間に活用可能な空間が創設される一方、道路下には上下水道やガスのほか、あらたに電気、通信等のライフラインが埋設されることから、利用空間が限定されることとなります。
そのため、街路樹の植樹については、地下埋設物の確認を踏まえた植樹スペースの検討が必要であり、休憩スペースの設置については、歩行者が安全に通行できる空間を確保した上での、例えば県産木材利用の検討がありうると考えております。また、景観への配慮からの木製防護柵設置については、防護柵の安全基準適合を前提に可能性を検討していく必要があると考えております。
8問目:今後無電柱化事業をどのように進めていくのか、市の考えを伺いたい。
回答:無電柱化については、平成28年12月に「無電柱化の推進に関する法律」が施行され、都道府県や市町村に、無電柱化推進計画の策定が努力義務化されております。
そのようなことを踏まえ、今後、市域全体をとらえた無電柱化の実績や北部市街地及び3駅周辺地区における取組を整理し、無電柱化事業の推進を図るため、法律に基づく無電柱化推進計画の策定を進めていきたいと考えております。
9問目:「歩行者利便増進道路」(通称:ほこみち)制度を利用した特例区域の指定について、市の考えを伺いたい。
回答:歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)は、食事施設、休憩施設等の賑わい施設が設置可能となるなど、道路空間の活用がしやすくなる制度で、民間のまちづくりへの参加を促進する等の効果があるものと考えております。
本市としては、バリアフリー等の道路としての構造基準への適用、歩行者の安全かつ円滑な通行のための有効幅員の十分な確保、高齢者や障害者にとって安全で歩行しやすい歩道であるなどの要件を満たすことが必要であるから、現時点で指定を予定している路線はありませんが、今後、指定を検討する場合は、沿道住民の方々のご理解や関係部局、公安委員会との協議等を慎重に進めていく必要があると考えております。
10問目:まちの価値を高める特色ある空間としての道路づくりが今後求められると考えるが、市の考えを伺いたい。
回答:本市では、現在、中心市街地の渋滞緩和、産業拠点へのアクセス向上、市全体の交通ネットワークの強化・構築に向けた道路拡幅、歴史的な街並みの道筋
保全などの街路整備として、回遊する歩行者ネットワークの整備を進めているところでございます。今後の道路づくりにおきましては、自動車や歩行者の通行機能の向上を目的とした整備、安全で快適な歩行空間の創出、地域の特性を生かした「歴みち事業」等の推進、災害に強い道路網の構築など、魅力的な空間づくりの取り組みについても進めていく必要があると考えております。
オーバーツーリズム対策事業について
本年、観光庁が実施する「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」先駆モデル型に川越市がめでたく採択されました。総額1億1,991万8,000円の予算です。これに関して、質疑を行いました。
1問目:観光庁のオーバーツーリズム対策事業に申請した経緯、目的を伺いたい。
回答:従前からゴールデンウィーク期間を中心に対策を実施してきましたが、新型コロナウイルス収束に伴い急激に観光客数が増加し、特に休日の日中、一番街を中心に車両と人が接触しそうな状態が発生、また、観光客のマナー悪化も見られ、総合的対策が必要となっていました。そこで、今回観光庁の補助金を活用し、オーバーツーリズム対策を包括的に実施することにしました。本年1月に公募が開始され、2月に申請、3月に全国20地域の1つとして採用されました。その後、地域関係者との懇談会を実施し、5月に計画を提出しました。
2問目:今年度の4月下旬と5月に行われた懇談会について、会議の内容と参加団体からの意見について伺いたい。
回答:観光関連団体、交通事業者、住民団体、商店等の関係者を委員として、本市のオーバーツーリズムに関する課題、観光庁に提出する対策計画案についてのご意見をいただきました。主なものは以下の通りです。
- 持続的な観光の発展が非常に重要
- 住民、商店街、関連事業者等、様々な関係者の連携が重要
- 交通問題は地域住民のことも踏まえた対策が必要
- ごみ対策については我々商店の責任において処理すべき
- マナーは、観光客に対してだけでなく事業者側も一緒に行う
3問目:懇談会におけるバス会社や鉄道の事業者からの意見について伺いたい。
回答:
- オーバーツーリズム対策に関して は、公共交通である鉄道の利用者を 伸ばした方が良い
- 一番街の観光客増加に伴い、バスの 運行が非常に危険な状態である
- 車道に歩行者がはみ出し、車道が歩 道になる状況。バスが来ると、すれ 違いに時間がかかり遅延が発生
- 来訪のお客様の利便性を向上させ たいと考えており、引き続き課題感 を持って取り組みたい
4問目:駐車場の混雑・満空情報の情報環境整備について伺いたい。
回答:本市が観光駐車場として管理する①土曜・日曜・祝日の市庁舎北側・南側駐車場②あぐれっしゅ川越③観光用無料駐車場について、満空状況を示す機器を整備します。
5問目:「多様な観光拠点への誘客促進」はどのような観光拠点へどのような方法で誘客を促進するのか伺いたい。
回答:対象とする観光拠点については、中心市街地内では、中心市街地周辺地域及び川越城本丸御殿地域、郊外では伊佐沼周辺地域です。誘客促進の方法については、地域の関係者との協議も踏まえ決定することとしておりますが、ARやVR等のデジタル技術を活用した内容を検討しています。また一番街からの回遊性を強化するため、案内看板の設置などにより、誘客促進を図ります。
6問目:商店街等のごみ回収とスマートごみ箱の設置に関する支援の内容、今後の継続の仕方について伺いたい。
回答:商店街によるごみ回収はもちろん、ごみが溜まると自動で圧縮するスマートごみ箱の導入に対し、補助金を交付します。来年度以降も商店街等の関係者と協議の場を設けるなど、継続的な支援をします。
7問目:川越市デジタルマップとはどのようなものか伺いたい。
回答:スマートフォン等のブラウザ上で、観光スポット、トイレの位置、交通・駐車場混雑等のリアルタイム情報をマップ上に掲載します。効果的で活用しやすい市内観光情報を入手し、時間や場所の分散化、観光客の利便性及び満足度の向上を図ります。
8問目:文化圏が異なる方へのマナー周知の手法について伺いたい。
回答:動画を活用します。様々な言語圏から訪れてくださるが、あらゆる言語での対応は困難なことから、ピクトグラムを活用します。市や小江戸川越観光協会のWebサイト・SNSによる発信の他、観光バス、店舗等での発信の協力を依頼し、広く周知を図ります。また、宗教・
風俗・習慣など文化が違う方々には、
マナー向上の取り組みとして、伝統・
文化をわかりやすく理解してもらう方策も検討します。
9問目:オーバーツーリズム対策事業に関わる事業経費について、市の財源について伺いたい。
回答:当該事業費である1億1,991万8,000円の内、60%に相当する7,994万5,000円が交付され、残額の3,997万3,000円は一般財源として財政調整基金からの繰入金により対応します。
10問目:北部市街地(一番街)の交通対策に関する検討経緯について伺いたい。
回答:市では、平成19年、北部中心市街地の交通円滑化方策について検討委員会を設置し、平成21年の交通社会実験を経て、平成23年、「一番街を終日北から南への一方通行とし、春季および秋季における一定の日曜・祝日の日を歩行者天国にする」との提言が出されましたが、住民の反対運動が起こったことにより、公安委員会等関係機関の意見も踏まえ、市としては、提言は尊重するものの、一方通行等の即時実施はせず、交通量の緩和策等に取り組みながら段階的に進めていく方針を発表しました。
同方針を踏まえ、中心市街地の交通環境向上のため、北環状線など都市計画道路整備や小仙波東交差点改良事業、パークアンドライド推進等による自動車流入抑制対策に取り組んできました。
一方、コロナ後の観光客数の増加もあり、一番街周辺の安全安心な交通環境の確保が喫緊の課題となるなか、交通量調査の実施などにより、地域の皆様とともに、北部市街地における交通規制等のあり方について検討しています。なお、交通量調査は、県道川越北環状線全線開通するなど道路環境の変化があり、今回改めて実施します。
11問目:パークアンドライド事業の調査検討の経緯と調査内容について、また既存のバス路線や駐車場を活かした方策について伺いたい。
回答:これまであぐれっしゅ川越において、パークアンドライド事業を実施し、また令和5年3月には春季秋季観光シーズンにおける実証実験を実施しました。
今回の調査では、駐車場やバス路線など、既存インフラの有効活用を前提に、北部市街地内の観光用駐車場の現状調査、市街地に流入する車両ナンバープレート調査を実施し、必要な駐車台数や効果的な位置等を分析し、郊外型駐車場候補地の選定や導入手法について検討します。
12問目:「歩行観光を改善、回遊性観光向上」について、また回遊性観光向上についての基本的計画の概要及び目的と今後の事業展開について伺いたい。
回答:「歴史的地区環境整備街路事業」は、北部市街地の歴史的街並み保全と一体となった道すじの整備事業であり、電線地中化や道路美装化の実績を整理し、今後推進すべき路線の抽出や優先順位について取りまとめる予定です。
目的は、無電柱化の推進と地区内における歩行環境改善による回遊性向上や観光客分散化を図ることです。今回の調査検討を踏まえ、具体的な実施に向けた方針を立案し、オーバーツーリズム関連事業と連携を図りながら、効果的な手法の実施に向け取り組んで参ります。
13問目:「低利用空地の活用による滞留空間の創出に向けた調査や実証実験」の具体的な内容について伺いたい。
回答:一番街道路の混雑解消を図るためには、店舗の行列客や歩行者が身を置けるスペースの確保、つまり、伝建地区内の低利用空地の活用による滞留空間の創出も重要です。
伝建地区内の特徴である町屋の中庭や商店街背後の緑地等の活用の可能性を検討します。まずは有効活用されていない低利用空地の利用状況等の実態を把握、土地及び建物所有者に対し滞在空間としてのオープンスペース化にご協力いただけるか意向調査を行います。そして、取り組みにご協力いただける民有地の活用と観客の誘導策について実証実験を行い、一番街をはじめとする道路空間の混雑解消効果、今後の実効性について確認します。また、川越街並み委員会とともに地区のルール化の可能性についても検討してまいります。