9月議会一般質問 中央公民館分室の有効活用について

2024年9月議会における小林範子の一般質問「中央公民館分室の有効活用について」全文を掲載します。

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中央公民館分室の有効活用 (一般質問小林範子)

おはようございます。議長の発言のお許しをいただきましたので、通告をしております「中央公民館分室の有効活用」につきまして、一般質問をさせていただきます。
平成31年4月から、老朽化のため貸出停止中の「中央公民館分室」ですが、由緒ある貴重な建築物でありながら、耐震上の問題などから、現状は休館を続けています。
元々は中央公民館分室の建物は、東京三田に久松定謨(ひさまつ さだこと)伯爵邸として建てられた建物です。久松定謨氏は、かつて松山藩主であった久松家当主で、長く陸軍武官としてフランス駐在、そのせいかハイカラ趣味で、大正時代、松山城の麓に萬翠荘(ばんすいそう)という鉄筋コンクリート造りのフランス風洋館を別邸として建設した人物です。この萬翠荘は、現在、国の重要文化財になっています。
ちなみに久松家は久松松平家といい、初代久松貞勝の母は徳川家康の母、於大の方。川越市は徳川家康とゆかりが深く、この分室は、本丸御殿や喜多院などとの歴史文化とも繋がります。
さて、その久松定謨伯爵の東京三田の本宅を、小泉八雲別名、ラフカディオ・ハーンの長男の小泉一雄氏が昭和3年に三橋村(大宮市)へ移しました。その後、その後、昭和14年に「山吉」で知られる山田屋の屋号を持つ呉服太物商の渡辺吉右衛門氏によって、川越に移築されたという由緒のある建物です。


埼玉県内初のデパート建築である一番街にある「山吉ビル」(現在は保刈歯科醫院が入っている)との関わりも含め、川越の物資集散と商業都市川越の発展にみる歴史的風致の観点からも貴重な中央公民館分室であることから、中央公民館分室は、川越の貴重な歴史的建造物として、様々な可能性を大いに持つ施設と言えるのではないでしょうか。
南側には素晴らしい庭園が配置されています。ふすまのひきて金具など見事な金工細工の松、竹 梅が彫られています。

さて、小泉八雲であるラフカディオ・ハーンは1850年生まれ。ギリシャのイオニア諸島レフカス島に生まれました。父はアイルランド出身で、イギリス軍の軍医。母はマルタ島生まれで、アラブの血も混じっていたと伝えられるギリシャ人。ニューオーリンズに移住、この地はラフカディオ・ハーンにとって重要な都市、各国、各地域の文化が混血しあうこの街で10年間を過ごしました。万国博覧会が開催された折、日本に関心を持つようになり『古事記』を読んで日本に。松江でセツに会い、結婚。セツとの出会いは決定的で、日本に永住、故郷を持ったのです。やがて子供が生まれ、ハーンは帰化、小泉八雲となり、自然と共存する人間の姿など日本を愛し、『怪談』など日本の怪談の本を多く書いて世界に発信しました。
小泉八雲の長男、一雄氏は文筆家で、一雄氏の孫、小泉時氏の著書『ヘルンと私』の中には、まさにこの中央公民館分室の建物の部屋の写真があり、そこに小泉八雲が実際執筆に使用していた机が掲載されています。

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さて、この分室の建物の保存は、同時代に建築された保岡勝也設計の旧川越貯蓄銀行や第八十五銀行本店、旧山崎別邸、山吉ビルといった歴史的建物との繋がりを浮き彫りにすることにもなります。これらの建物は、川越が商業都市として発展した時代を象徴するものであり、中央公民館分室もその一部として位置づけられます。したがって、この建物を保存することは、川越の歴史的景観と文化的遺産を一体的に守り、地域の歴史を次世代に伝える重要な役割を果たすことになります。
渡辺吉右衛門氏は保岡勝也設計の山吉ビルを建てていますが、旧山崎家別邸のような建物も別邸としてつくることは出来たはずです。しかしこの建物を移築しています。それは、この建物への特別な愛着、つまり小泉八雲ゆかりの、あるいは、久松伯爵邸ということがあったのではないかと感じるというお話も詳しい方から伺っています。
こう考えますと、川越を語る上で重要な豪商たちに関わるこれらの建物は、今後、セットで伝えて行くことが重要であると考えられます。
以上より、建物本来の価値が活かされないまま、放置されることは問題ではないかと思います。歴史文化を生かした遊休施設の有効活用という観点から、中央公民館分室について、改めて活用を検討できないかと思います。そこで質問に移りますが、そもそもなぜこの歴史ある施設が公民館になったのか、ということについてお聞きしたいところですが、そのことに答えられる方はおられず、資料も残っていないということでした。そこで質問です。

1.中央公民館分室の開館から休館までの経緯について伺いたい
2.中央公民館分室の開館中はどのように活用されていたのか伺いたい
3.中央公民館分室の利用人数の実績について伺いたい
4.中央公民館分室の維持管理費は、休館中も含め、どれくらいかかっていたのか伺いたい(中央公)
5.隣接する勤労会館跡地について、歴史と現在までの経緯、駐車場使用料収入について伺いたい(管財課)
6.川越の豪商や小泉八雲と分室との関わりについて市はどのように認識しているか伺いたい
7.分室の耐震診断の結果及び改修をするとしたらどの程度費用がかかるか伺いたい
8 分室を今後どのようにするのか。現在までの検討状況について伺いたい以上を一回めといたします。


(1回目 答弁)
1 中央公民館分室の開館から休館までの経緯について伺いたい。
[答弁](中央公民館)
中央公民館分室の開館から閉館までの経緯についてでございます。
中央公民館分室は、川越市六軒町2丁目15番地1にございます敷地面積1076.85平方メートル、床面積169.53平方メートルの木造平屋建ての近代和風建築でございます。
もともとは、久松(ひさまつ) 定模(さだこと)伯爵邸として東京の三田に建築された建物を小泉八雲の長男一雄氏が譲り受け、昭和3年にさいたま市に移築しました。その後、昭和14年に川越の呉服商「山吉(やまきち)」の渡邊(わたなべ) 吉(きち)右(う)衛門(えもん)氏によって買い取られ、現在の六軒町に移築されました。
昭和58年3月にこの土地・建物を川越市が買収し、同年7月から中央公民館分室として開館し、その後約35年間、主に公民館の貸室として活用してまいりました。
平成30年に、シロアリによる浸食がみられるなど老朽化が著しい状況であったため簡易耐震診断を実施したところ、倒壊する可能性が高いとの診断結果となり、安全性が確保できないことから、平成31年4月から休館して現在に至っております。

2 分室の開館中はどのように活用されていたのか伺いたい。
[答弁](中央公民館)
分室がどのように活用されていたかでございます。分室は貸室が和室の3室でございまして、主に囲碁や詩吟、舞踊、ヨガ等の団体が利用しておりました。また、川越の歴史に関する講座などで公民館主催事業として利用したこともございました。

3 分室の利用人数の実績について伺いたい。
[答弁](中央公民館)
分室の利用人数の実績についてでございます。
休館前の過去3年間の利用人数及び使用率についてお答えいたします。
平成28年度の分室の利用人数は、14,558人で使用率は41.8%
平成29年度は、14,443人で43.5%
平成30年度は、14,592人で42.0% でございます。
また、比較対象として近隣の中央公民館、南公民館、北公民館の和室の平均使用率についてもお答えしますと、
平成28年度は、53.5%、
平成29年度は、53.4%、
平成30年度は、52.3%、となっております。
(参考)
使用率は、1日4回ある貸室スケジュールのうち、貸室ごとに何回使用されたかの割合で算出。

4 分室の維持管理費は、休館中も含め、どのくらいかかっているのか伺いたい。  
[答弁](中央公民館)
分室の維持管理費についてでございます。
休館前の過去3年間の維持管理費は、年間の平均で約440万円ほどで、その主なものは受付業務の委託料でございました。
休館後の維持管理費は、年間約60万円程度で植栽管理や簡易清掃に関する費用でございます。

5 隣接する勤労会館跡地について、歴史と現在までの経緯、駐車場使用料収入について伺いたい。 
[答弁](管財課)
勤労会館跡地についての歴史と現在までの経緯等についてでございます。
公共職業安定所として利用されていた土地建物を、昭和43年3月の公共職業安定所の移転に伴い、川越市勤労会館として埼玉県から取得いたしました。
その後、川越市勤労会館は昭和43年7月から平成30年6月までの間、川越地方労働組合連絡協議会が川越市との有償貸付契約に基づき利用しておりましたが、建物については老朽化を理由に令和3年8月に解体をしております。
解体後は暫定活用として、民間事業者との間で駐車場用地として有償貸付契約を締結しており、賃貸借料は月額22万5000円、年額にすると270万円でございます。

6 小泉八雲や川越の豪商と分室との関わりについて市はどのように認識しているか伺いたい。
[答弁](中央公民館)
小泉八雲や川越の豪商と分室との関わりにおける市の認識についてでございます。
分室を開館する際に作成したパンフレットによりますと、小泉八雲の長男一雄氏が久松家から建物を譲り受け、現在のさいたま市三橋に建物を移築し、その家で父、八雲の形見の机に向かい、父を憶う(おもう)「思い出の記」を執筆したとされています。
また、その後、一雄氏が引っ越しをした後の昭和14年に川越で呉服商を営んでいた豪商「山吉(やまきち)」の渡邊(わたなべ) 吉(きち)右(う)衛門(えもん)氏が買い取り、現在の川越市
六軒町に移築をしました。それが現在の建物でございます。
市は、以上のような認識のもと、分室は小泉八雲や本市の豪商に縁(ゆかり)のある建物であることをPRしてきた経緯がございます。

7 分室の耐震基準の結果及び改修をするとしたら、どの程度費用がかかるか伺いたい。
[答弁](中央公民館)
分室の耐震診断の結果及び改修費用についてでございます。
平成30年に簡易耐震診断をしたところ、大地震の際に「倒壊する可能性が高い」という診断でございました。
その後の令和元年に、伝統耐震診断やシロアリ診断について詳細な診断を行い、伝統耐震性評価指数C値で総合的に「やや危険」との診断がなされ、また、シロアリ診断では防蟻処理については、相当な時間と費用を要するとの結果でございました。
次に改修の費用についてでございますが、古民家鑑定の観点からは、6段階評価の上から3段目の「コストがかかるが再生可能」となっております。類似事例を参考にしますと、防蟻処理と耐震改修費用として1億円を超えると想定しております。

8 分室を今後どのようにするのか。現在までの検討状況について伺いたい。
 [答弁](中央公民館)
分室の今後における検討状況についてでございます。
現在分室は、老朽化が著しいことなどから休館を継続しておりますが、令和元年12月の文化教育常任委員会で報告しましたとおり、シロアリ及び耐震診断の結果を踏まえ、用途廃止を含めた今後の対応について検討をしてきたところです。
令和5年度に教育委員会内において、公民館としての再生や文化財的活用もしないとの結論を出しました。
その後、市長部局を含めて利活用の可能性を探るため令和6年8月に関係課長会議を開催し、さまざまな可能性について検討を始めたところでございます。
今後も隣接している旧勤労会館跡地と合わせた利活用も含めて、方向性を定めるべく検討を続けてまいりたいと考えております。

(2回目)
それぞれお伺いいたしました。ご答弁から中央公民館分室は公民館として開設して閉館後の現在まで40年経つ中で、主に囲碁や詩吟、舞踊、ヨガ等や公民館講座に利用され、休館前の3年間で言えば毎年約14000人が利用し、約40%の使用率ということでしたが、そんな中、分室には深い思い出や愛着を持つ市民も少なくありません。
またご答弁からは、市としても当時は川越の豪商や小泉八雲に縁(ゆかり)のある建物であることをPRしてきたとのこと、耐震診断では総合的に「やや危険」との診断がなされ、「コストがかかるが再生可能」という想定になるとのことでした。つまり、シロアリ診断で相当な時間と費用を要するとのことから、改修の費用についてはそれらを含めて1億円を超えるということでした。
しかし、改修に関しては、民間の専門家にお聞きしますと、かなり費用を抑え耐震改修を行うことも可能なようです。
また、ご答弁では分室の維持管理にかかる費用は、主に受付業務の委託料で、年間平均で約440万円程。休館後の維持管理費は、植栽管理や簡易清掃で年間約60万円程度とお聞きしました。隣接する勤労会館跡地の駐車場としての、賃貸借料も月額22万5000円、年額270万円ということでしたが、ここでも、植栽管理や簡易清掃管理もふくめて、運営を民間と連携して行うことで、建物を生かしながら効率的、効果的な運営ができるのではないでしょうか。
今後、公民館としての再生や文化財的活用もしないとのことですが、歴史的文化的価値を持つ中央公民館分室の活用方法について、様々な可能性についてどれだけ幅広い情報共有のもとに検討されているのでしょうか。
今年、総額1億1991万8千円の予算で行われる観光庁のオーバーツーリズム対策事業の中で、回遊性を高めるための「多様な観光拠点への誘客促進」に1000万円が計上されています。
その際にも対象とする観光拠点について、中心市街地周辺地域及び川越城本丸御殿地域、郊外では伊佐沼周辺地域を中心に考えているようですが、いま利用されていない遊休施設にも目を向けることができるといいと思います。つまり、回遊案として「豪商の道すじルート」などというものを作り、丹徳庭園、山崎別邸などと東西につなぐことで、南北の蔵の街の通りのオーバーツーリズムという課題の解決にもつながってゆくのではないかと思います。
そのためには、小泉八雲ですが、例えば、現在、松江、焼津等に小泉八雲記念館があるのですが、川越にも小泉八雲記念館なども作りうるわけです。そうなれば、来年後期のNHK朝ドラ「ばけばけ」の主人公が小泉八雲の妻「セツ」がモデルだそうですので、全国から人をよび込み、宿泊型観光を促進する良いきっかけになるのではと思います。
さらに大きく言えば、持続可能な観光のための観光のグランドデザインとして、また、オーバーツーリズム解消のための回遊ルートの一つとして、「豪商の道筋ルート」や分室の利活用についてどう考えるか、お聞きしたい。

  1. 中央公民館分室付近は今も歴史的建造物は残っているが、このエリアを回遊できる観光ルートとして活用することについて、市はどのように考えているのか伺いたい。

    さらに、分室においては、「観光客の居場所」と「地域住民の居場所」両面を持つ場としての活用ができるのではと思います。地元と触れ合える場としても、公民館の場所の不足からもふさわしい場所になると思います。 ニッポニアが山梨県小菅村で行っている「さとゆめ」では、観光客と地元の人が交流する場、相互理解の場を作り出しています。私ごととして地元の人が観光に関われるそのような場所は川越にも必要と思われます。そんな中から川越に住んで良かったというシビックプライド、すなわち市民の誇りの醸成にもつながります。また子供達が歴史や伝統文化を知り、体験する場にもなります。
    観光の視点から言えば、「食べ歩き」観光から「ふれあう」観光への転換を図るため,体験・学習型コンテンツの充実など川越の文化や知恵,匠の技を心で“みる”観光を進める。また,地元の人びととのふれあいが魅力的な観光資源であることを踏まえ、観光客が川越の日常生活を体験できる取組を推進できたら素晴らしいと思います。
    市民が子どもから大人まで川越の魅力を知り、楽しむ取り組みを広げながら、地域の人々が、観光客を温かく迎え、観光の新たな主体として存在感を発揮する都市を目指す、そのような市民と観光客の触れ合える場ができたら素晴らしいと思います。そこで

10.市民と観光客の触れ合える交流型の観光事業を推進することについて、市はどのように考えるのか伺いたい。

さらに大きな視点で申しますと、公共施設については、市では人口が急増する1970年代前半から1980年代前半にかけて集中的に整備されてきた中で、建設後30年から40年程度経過し、老朽化した公共施設等をそのまま放置することはできないが、一方、全ての公共施設等を更新することも、厳しい財政状況を踏まえると困難であるとしています。

11.公共施設の老朽化の現状と課題について伺いたい(総合政策部 社会資本マネジメント)以上を二回めといたします。

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(2回目 答弁)

  1. 中央公民館分室付近は今も歴史的建造物が残っているが、このエリアを回遊できる観光ルートとして活用することについて、市はどのように考えているのか伺いたい。
    [答弁](観光課)
    中央公民館分室付近のエリアを回遊できる観光ルートとして活用することについてございます。
    このあたりには、中央公民館分室のほか、飲食店として活用されており、国登録有形文化財でもある旧六軒町郵便局や、明治初期に建築され、体験や宿泊施設等として活用されている丹徳庭園等の貴重な建造物が所在しており、これらの建築の経緯や魅力を充実させることによって、こうした施設に興味を持っていただける可能性があり、また、例えば、川越駅に向かう際の立ち寄りとしてルートを設定し、ご案内することにより、一番街周辺部に集中している観光客の分散化や滞在時間の延伸につながることが期待されるところでございます。

10.市民と観光客の触れ合える交流型の観光事業を推進することについて、市はどのように考えるのか伺いたい
[答弁](観光課)
市民と観光客が触れ合える交流型の観光事業を推進することについてでございます。
市民と観光客の交流につきましては、一例を申し上げますと、毎週日曜日及び祝日に川越まつり会館で行われているお囃子の実演、 春に行われている「江戸の日」での催事、秋に行われているShingashiめぐり・わくわくフェスティバルでの各体験事業等により推進されているところでございます。
こうした交流により、市民の皆様にとっては川越に住んでいることに対する誇りと愛着が醸成されるとともに、観光客にとっても満足度が高まる機会の一つになること、また、地域で生活する市民の皆様と観光客との相互理解が深まることが期待されることから、本市といたしましても、引き続き、交流型の観光事業を推進していきたいと考えているところでございます。

11.公共施設の老朽化の現状と課題について伺いたい
[答弁](総合政策部 社会資本マネジメント)
公共施設の老朽化の現状と課題についてでございます。
老朽化の現状につきましては、令和6年3月30一日時点における公有財産台帳によりますと、本市が所有する公共施設の延床面積は約784,000平方メートルでございますが、そのうち建築後40年以上経過した施設の延床面積は約約431,000平方メートルで、約55%を占めており、多くの施設で老朽化が進行しております。
課題といたしましては、老朽化が進む公共施設について、市民の皆様や職員が安全に利用できるよう適切な維持管理を努めるとともに、機能維持のためには、建築から20年や40年の節目には、一定程度規模の改修も行っていく必要がございます。
一方で、限られた財源で、効果的、効率的に施設サービスを提供するためには、更新時期を迎えた公共施設について適切な規模や適切な配置等の検討を行うとともに、施設の統廃合等の検討も併せて進める必要があると考えております。

(3回目)
それそれご答弁いただきました。一般論として、老朽化が進む公共施設について、適切な維持管理とともに、機能維持のために、建築から20年、40年の節目にメンテナンスが必要ですが、一方、限られた財源のなかで、効果的、効率的施設サービスの提供のため、更新時期を迎えた公共施設については、施設の統廃合等の検討も併せ進める必要があるとのことでした
さて、移築してから80年の時間が経っております分室につきましては、公民館としての再生や文化財的活用をせず、市長部局を含めて利活用の可能性を探る、さらに、旧勤労会館跡地と合わせた利活用も含めてという方向性のお話を伺いましたが、まちなかの中央通りに近い便利な場所にあるということで、土地そのものの価値ばかりに重きが置かれてしまい、建物そのものの歴史的文化的価値は議論されず、価値についての情報が共有されず、売却など検討されることになったらまことに残念なことです。
そこで、中央公民館分室を今後どのようにするのか、観光利用としての可能性などがあるなか、市の遊休施設の管理活用手法としてどのようなものがあるのでしょうか。
他の都市を例にとれば、一つは市の保有財産を公募型プロポーザル方式で民間事業者に売却する方法です。新潟市の旧会津八一記念館の場合、これは会津八一の偉業を伝え資料を保存する会館ですが、耐震強度不足や保存環境の問題から移転閉館することになりました。その際、民間事業者の企画力、資金力、ノウハウを活用し、外観を維持、建物を壊すことなく、耐震化をし、市民が利用可能なスペースの設置などを条件に公募する手法とっています。
また、民間の総意工夫に富んだ発想を生かした提案による公募型プロポーザル方式もあります。市が保有したまま民間事業者に貸し付ける方法です。貸付は現状のまま、なお建物については、内装・外装の変更や新たな建物を建築することも認められたりもします。古民家の再生などによく使われる手法です。例えば、鎌倉市の例ですが、旧村上邸の保存と活用に使われた手法で、市が保有したまま定期賃貸借契約を結ぶ方法です。旧村上邸は、東御門にある広い敷地と雰囲気のある竹垣や門などを持つ鎌倉の典型的なお屋敷ですが、鎌倉市に遺贈された建物です。その後、このプロポーザル方式で民間事業者と定期賃貸借契約を結び、保存活用されています。
いわゆるスモールコンセッションとは、自治体が取得・保有する空き家や遊休公的不動産といった比較的小規模な施設の所有権を自治体などが持ったまま、リノベーションや賃貸、管理などの運営全般を民間事業者に委ね、官民連携で地域を活性化する手法です。自治体にとっては住民サービスの向上や維持管理費の削減が、民間事業者にとっては事業機会の拡大や地域への貢献といった効果が期待できます。地域の中小企業も運営に携われることで「エリア価値」の向上につなげる仕組みです。閉鎖された校舎の教室のスペースを小規模事業者に提供して地域活性化を図ったり、空き家を利活用して宿泊施設にしたりするだけでなく、地域やそこで暮らす住民との交流ができるような仕組みです。
さて、先ほどの小泉八雲のひ孫にあたる小泉凡さんは八雲を文化資源として現代にいかす活動をしており、2008年からNPO法人松江ツーリズム研究会を行っているのですが、八雲が書き記した怪談の地を巡る「松江ゴーストツアー」を行っています。きっかけは、八雲が育ったアイルランドの首都ダブリンを訪れた際、「ダブリン・ゴーストツアー」に参加したことでした。アイルランドには怪談や妖精の話が残っていますが、アイルランドは、それらを無形文化遺産として活用しています。
もともと松江は城下町なので、築城伝説をはじめとした怪談がありましたが、怪談が町の資源だとは、そのときは誰も気が付いていなかったそうです。ゴーストツアーの地元の語り部の育成にも力を入れているそうです。これは同じく城下町である川越でもできそうです。
民間団体の例では、NPO法人蔵の会では川越の貴重な建物を保存・利活用を提案してゆく目的で、「中央公民館分室の今後を考える会」を発足させ、継続的に分室活用についてのトークセッションやワークショップを開催しています。
 公民館分室に関わってきた方々のお話を聞き、また市民から分室の利活用について様々なアイデアを募集しました。また分室を利用していた団体や周辺自治会のお話を伺い、どのような利用が望ましいのか広く意見を聞き、検討することや、建物だけでなく周りの地域の状況も踏まえ、地域全体が活性化できるような利用方法を考えていくこと、さらには、建物の保存のみではなく、資金面での方法も考え、積極的に提案や協力を模索しているようです。


このように、歴史的建造物を官民連携で事業運営することは、市にとって管理負担を減らすことにつながります。
さて、令和6年3月、川越市公共施設・インフラ施設複合化に関する市民アンケート調査が行われました。それによれば、「公民館X図書館」 「図書館X美術館・博物館」 「公民館X集会施設」 「ホール施設X集会施設」 「美術館・博物館X観光関連施設」など複合化したら良い組み合わせの可能性について市民は高い関心を持っています。
そこで、この分室についても「小泉八雲記念館X集会施設X観光関連施設」というような形での再生も視野に入れるべきだと思います。
中央公民館分室を今後どのようにするのか、官民連携による有効活用の観点から2つの質問をして終わりにしたいと思います。

12 老朽化している市の施設の今後の維持管理方法について、公共施設の官民連携による有効活用の観点から、市の考えを伺いたい。(社会資本マネジメント課)

13 民間の資金やアイデアを活用した維持管理方法を、分室の利活用に取り入れることについて、市のお考えを伺いたい。(中央公民館)

(3回目 答弁)
12 老朽化している市の施設の今後の維持管理方法について、公共施設の官民連携による有効活用の観点から、市の考えを伺いたい。
〔答弁〕(社会資本マネジメント課)
老朽化している市の施設の今後の維持管理方法についてでございます。厳しい財政状況の中、公共施設を安全に維持管理し、また、有効活用を図っていくためには、民間事業者のノウハウを活用した管理・運営手法を導入する事も有効な手段の一つと考えております。
老朽化している公共施設の活用を検討する際には、行政が担うべき役割を整理した上で、民間の創意工夫により効率的、効果的なサービスの提供が見込まれる場合につきましては、積極的に民間事業者との連携を図っていく必要があるものと考えております。
13 歴史的建造物としての価値を生かした中央公民館の利活用について、
民間の資金やアイデアを活用した維持管理方法を取り入れることについて、市の考えを伺いたい。
[答弁](中央公民館)
民間の資金等を活用した維持管理方法を分室の利活用に取り入れることについての市の考えでございます。
先程もご答弁しましたとおり、分室の建物の再生、維持管理には多額の費用がかかり、これを市が自力で行うには多くの課題があります。
一方で、立地や旧勤労会館跡地を含めた土地の面積や形状を鑑みると価値の高い財産と考えられます。
分室の利活用をする場合には、民間の資金やアイデアを活用する手法は選択肢の一つとして様々な可能性を探ってまいりたいと考えております。

議会活動報告「鳥の眼と小さなアンブレラ」第6号

議会での質問内容を動画でご覧になりたい方は以下のリンクをご参照ください。
中央公民館分室の有効活用

中央公民館分室の有効活用

9月議会が終わり、私にとって6回目の議会で6回目の一般質問ですが、テーマは「中央公民館分室の有効活用」についてです。
中央公民館分室(六軒町2丁目15番地1)は川越の貴重な歴史的建造物です。深い思い出や愛着を持つ市民も少なくありません。そこで、歴史文化を生かした遊休施設の有効活用という観点から、中央公民館分室の官民連携による有効活用、歴史文化を生かした利活用を検討できないか、一般質問いたしました。
元々は中央公民館分室の建物は、東京三田に久松定謨(ひさまつ さだこと)伯爵邸として建てられた建物です。久松定謨氏は、かつて松山藩主であった久松家当主で、長く陸軍武官としてフランスに駐在、そのせいかハイカラ趣味で、大正時代、松山城の麓に萬翠荘(ばんすいそう)という鉄筋コンクリート造りのフランス風洋館を別邸として建設した人物です。この萬翠荘は、現在、国の重要文化財になっています。
ちなみに久松家は久松松平家といい、藩祖久松定勝の母は徳川家康の母、於大の方。つまり、定勝と家康は異父兄弟。川越市は徳川家康とゆかりが深く、この分室は、本丸御殿や喜多院などの歴史文化と強いつながりがあります。
その久松定謨伯爵の東京三田の本宅を、小泉八雲別名、ラフカディオ・ハーンの長男の小泉一雄氏が昭和3年に三橋村(大宮市)へ移し、その後、昭和14年に「山吉」で知られる山田屋の屋号を持つ呉服太物商の渡辺吉右衛門氏によって、川越に移築されたという由緒のある建物です。
埼玉県内初のデパート建築、一番街にある「山吉ビル」(現在は保刈歯科醫院が入っている)との関わりも含め、川越の物資集散と商業都市川越の発展にみる歴史的風致の観点からも貴重であることから、中央公民館分室は、様々な可能性を大いに持つ施設と言えます。
南側には素晴らしい庭園が配置されています。ふすまの引き手金具など見事な金工細工の松、竹 梅が彫られています。

さて、小泉八雲であるラフカディオ・ハーンは1850年生まれ。ギリシャのイオニア諸島レフカス島に生まれました。父はアイルランド出身で、イギリス軍の軍医。母はマルタ島生まれで、アラブの血も混じっていたと伝えられるギリシャ人。やがて、ニューオーリンズに移住、この地はラフカディオ・ハーンにとって重要な都市、各国、各地域の文化が混血しあうこの街で10年間を過ごしました。
万国博覧会が開催された折、日本に関心を持つようになり『古事記』を読んで日本に。松江でセツに会い、結婚。セツとの出会いは決定的で、日本に永住、故郷を
持ったのです。やがて子供が生まれ、ハーンは帰化、小泉八雲となり、自然と共存する人間の姿など日本を愛し、『怪談』など日本の怪談の本を多く書いて世界に発信しました。
小泉八雲の長男、一雄氏は文筆家で、一雄氏の長男、小泉時氏の著書『ヘルンと私』の中には、まさにこの中央公民館分室の建物の部屋の写真があり、そこに小泉八雲が実際執筆に使用していた机が掲載されています。

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この分室の建物の保存は、同時代に建築された保岡勝也設計の旧川越貯蓄銀行や第八十五銀行本店、旧山崎別邸、山吉ビルと
いった歴史的建物との繋がりを浮き彫りにすることになります。
これらの建物は、川越が商業都市として発展した時代を象徴するものであり、中央公民館分室もその一部として位置づけられます。したがって、この建物を保存することは、川越の歴史的景観と文化的遺産を一体的に守り、地域の歴史を次世代に伝える重要な役割を果たすことになります。
渡辺吉右衛門氏は保岡勝也設計の山吉ビルを建てていますが、旧山崎家別邸のような建物も別邸としてつくることは出来たはずです。しかしこの建物を移築しています。それは、この建物への特別な愛着があったのではないかと感じられます。
以上、川越を語る上で重要な豪商たちに関わるこれらの建物は、今後、セットで伝えて行くことが重要であると考えられます。

質問:中央公民館分室の開館から休館までの経緯は?どのように活用されていたのか伺いたい。
答:昭和58年3月に土地建物を市が買収し、同年7月から中央公民館分室として開館し、約35年間、主に公民館の貸室として活用しました。平成30年に、シロアリによる浸食がみられるなど老朽化が著しい状況であったため簡易耐震診断を実施したところ、倒壊する可能性が高いとの診断結果となり、安全性が確保できないことから、平成31年4月から休館して現在に至っています。開館中は主に囲碁や詩吟、舞踊、ヨガ等や公民館講座に利用され、休館前の3年間で言えば毎年約14,000人が利用しました。

質問:分室の維持管理費用は?
答:主に受付業務の委託料で、年間平均で約440万円程。休館後の維持管理費は、植栽管理や簡易清掃で年間約60万円程度です。

質問:分室の耐震診断の結果は?また、改修にかかる費用は?
答:平成30年に簡易耐震診断をしたところ、大地震の際に「倒壊する可能性が高い」という診断でした。
その後の令和元年に、伝統耐震診断やシロアリ診断について詳細な診断を行い、伝統耐震性評価指数C値で総合的に「やや危険」との診断がなされ、また、シロアリ診断では防蟻処理については、相当な時間と費用を要するとの結果でした。
次に改修の費用について、古民家鑑定の観点からは、6段階評価の上から3段目の「コストがかかるが再生可能」となっています。類似事例から防蟻処理と耐震改修費用として1億円を超えると想定しています。

提案:回遊ルート「豪商の道すじ」としての活用
しかし、改修に関しては、民間の専門家にお聞きすると、かなり費用を抑え耐震改修を行うことも民間では可能なようです。
分室の維持管理にも費用がかかりますが、植栽管理や簡易清掃管理もふくめて、運営を民間と連携して行うことで、建物を生かしながら効率的、効果的な運営ができるのではないでしょうか。
今年、総額1億1,991万8,000円の予算で行われる観光庁のオーバーツーリズム対策事業の中で、回遊性を高めるための「多様な観光拠点への誘客促進」に1,000万円が計上されています。
その際にも対象とする観光拠点について、中心市街地周辺地域及び川越城本丸御殿地域、郊外では伊佐沼周辺地域を中心に考えているようですが、いま利用されていない遊休施設にも目を向けることができるといいと思います。つまり、回遊案として「豪商の道すじルート」などというものを作り、丹徳庭園、山崎別邸などと東西につなぐことで、南北の蔵の街の通りのオーバーツーリズムという課題の解決にもつながってゆくのではないかと思います。
そのためには、小泉八雲ですが、例えば、現在、松江、焼津等に小泉八雲記念館があるのですが、川越にも小泉八雲記念館なども作りうるわけです。そうなれば、来年後期のNHK朝ドラ「ばけばけ」の主人公が小泉八雲の妻「セツ」がモデルだそうですので、全国から人をよび込み、宿泊型観光を促進する良いきっかけになるのではと思います。
さらに言えば、持続可能な観光のための観光のグランドデザインとして、また、オーバーツーリズム解消のための回遊ルートの一つとして、「豪商の道筋ルート」や分室の利活用についてどう考えるのでしょうか。

質問:中央公民館分室付近は今も歴史的建造物は残っているが、このエリアを回遊できる観光ルートとして活用することについて、市はどのように考えているのか
答:このあたりには、中央公民館分室のほか、飲食店として活用されており、国登録有形文化財でもある旧六軒町郵便局や、明治初期に建築され、体験や宿泊施設等として活用されている丹徳庭園等の貴重な建造物が所在しており、これらの建築の経緯や魅力を充実させることによって、こうした施設に興味を持っていただける可能性があり、また、例えば、川越駅に向かう際の立ち寄りとしてルートを設定し、ご案内することにより、一番街周辺部に集中している観光客の分散化や滞在時間の延伸につながることが期待されるところです。

さらに、分室においては、「観光客の居場所」と「地域住民の居場所」両面を持つ場としての活用ができるのではと思います。地元と触れ合える場としても、公民館の場所の不足からもふさわしい場所になると思います。
ニッポニアが山梨県小菅村で行っている「さとゆめ」では、観光客と地元の人が交流する場、相互理解の場を作り出しています。私ごととして地元の人が観光に関われるそのような場所は川越にも必要と思われます。そんな中から川越に住んで良かったというシビックプライド、すなわち市民の誇りの醸成にもつながります。また子供達が歴史や伝統文化を知り、体験する場にもなります。
観光の視点から言えば、「食べ歩き」観光から「ふれあう」観光への転換を図るため,体験・学習型コンテンツの充実など川越の文化や知恵,匠の技を心で“みる”観光を進める。また,地元の人びととのふれあいが魅力的な観光資源であることを踏まえ、観光客が川越の日常生活を体験できる取組を推進できたら素晴らしいと思います。
市民が子どもから大人まで川越の魅力を知り、楽しむ取り組みを広げながら、地域の人々が、観光客を温かく迎え、観光の新たな主体として存在感を発揮する都市を目指す、そのような市民と観光客の触れ合える場ができたら素晴らしいと思います。

提案:官民連携で事業運営する
さて、移築してから80年の時間が経っております分室につきましては、公民館としての再生や文化財的活用をせず、市長部局を含めて利活用の可能性を探る、さらに、旧勤労会館跡地と合わせた利活用も含めてという方向性のお話を伺いましたが、まちなかの中央通りに近い便利な場所にあるということで、土地そのものの価値ばかりに重きが置かれてしまい、建物そのものの歴史的文化的価値は議論されず、価値についての情報が共有されず、売却など検討されることになったらまことに残念なことです。
そこで、中央公民館分室を今後どのようにするのか、観光利用としての可能性などがあるなか、市の遊休施設の管理活用手法としてどのようなものがあるので
しょうか
他の都市を例にとれば、一つは市の保有財産を公募型プロポーザル方式で民間事業者に売却する方法です。新潟市の旧会津八一記念館の場合、これは会津八一の偉業を伝え資料を保存する会館ですが、耐震強度不足や保存環境の問題から移転閉館することになりました。その際、民間事業者の企画力、資金力、ノウハウを活用し、外観を維持、建物を壊すことなく、耐震化をし、市民が利用可能なスペースの設置等を条件に公募する手法をとっています。
また、民間の総意工夫に富んだ発想を生かした提案による公募型プロポーザル方式もあります。市が保有したまま民間事業者に貸し付ける方法です。貸付は現状のまま、なお建物については、内装・外装の変更や新たな建物を建築することも認められたりもします。古民家の再生などによく使われる手法です。例えば、鎌倉の例ですが、旧村上邸の保存と活用に使われた手法で、市が保有したまま定期賃貸借契約を結ぶ方法です。旧村上邸は、東御門にある広い敷地と雰囲気のある竹垣や門などを持つ鎌倉の典型的なお屋敷ですが、鎌倉市に遺贈された建物です。その後、このプロポーザル方式で民間事業者と定期賃貸借契約を結び、保存活用されています。

提案:エリア価値向上を視野に
いわゆるスモールコンセッションとは、自治体が取得・保有する空き家や遊休公的不動産といった比較的小規模な施設の所有権を自治体などが持ったまま、リノベーションや賃貸、管理などの運営全般を民間事業者に委ね、官民連携で地域を活性化する
手法です。自治体にとっては住民
サービスの向上や維持管理費の削減が、民間事業者にとっては事業機会の拡大や地域への貢献といった効果が期待できます。地域の中小企業も運営に携われることで「エリア価値」の向上につなげる仕組みです。閉鎖された校舎の教室のスペースを小規模事業者に提供して地域活性化を図ったり、空き家を利活用して宿泊施設にしたりするだけでなく、地域やそこで暮らす住民との交流ができるような仕組みです。
さて、先ほどの小泉八雲のひ孫にあたる小泉凡さんは八雲を文化資源として現代に生かす活動をしており、2008年からNPO法人松江ツーリズム研究会を行っているのですが、八雲が書き記した怪談の地を巡る「松江ゴーストツアー」を行っています。きっかけは、八雲が育ったアイルランドの首都ダブリンを訪れた際、「ダブリン・ゴーストツアー」に参加したことでした。アイルランドには怪談や妖精の話が残っていますが、アイルランドは、それらを無形文化遺産として活用しています。
もともと松江は城下町なので、築城伝説をはじめとした怪談がありましたが、怪談が町の資源だとは、そのときは誰も気が付いていなかったそうです。ゴーストツアーの地元の語り部の育成にも力を入れているそうです。これは同じく城下町である川越でもできそうです。
民間団体の例では、NPO法人蔵の会では川越の貴重な建物を保存・利活用を提案してゆく目的で、「中央公民館分室の今後を考える会」を発足させ継続的に分室活用についてのトークセッションやワークショップを開催しています。
公民館分室に関わってきた方々のお話を聞き、また市民から分室の利活用について様々なアイデアを募集しました。また分室を利用していた団体や周辺自治会のお話を伺い、どのような利用が望ましいのか広く意見を聞き、検討することや、建物だけでなく周りの地域の状況も踏まえ、地域全体が活性化できるような利用方法を考えていくこと、さらには、建物の保存のみではなく、資金面での方法も考え、積極的に提案や協力を模索しているようです。
このように、歴史的建造物を官民連携で事業運営することは、市にとって管理負担を減らすことにつながります。
さて、令和6年3月、川越市公共施設・インフラ施設複合化に関する市民アンケート調査が行われました。それによれば、「公民館×図書館」「図書館×美術館・博物館」「公民館×集会施設」「ホール施設×集会施設」「美術館・博物館×観光関連施設」など複合化したら良い組み合わせの可能性について市民は高い関心を持っています。
そこで、この分室についても「小泉八雲記念館×集会施設×観光関連施設」というような形での再生も視野に入れるべきです。

質問:公共施設の老朽化の現状と課題について伺いたい
答:多くの施設で老朽化が進行しています。老朽化が進む公共施設について、市民の皆様や職員が安全に利用できるよう適切な維持管理を努めるとともに、機能維持のためには、建築から20年や40年の節目には、一定程度規模の改修も行っていく必要があります。一方で、限られた財源で、効果的、効率的に施設サービスを提供するためには、更新時期を迎えた公共施設について適切な規模や適切な配置等の検討とともに、施設の統廃合等の検討も併せて進める必要があると考えています。

質問:老朽化している市の施設の今後の維持管理方法について、公共施設の官民連携による有効活用について市の考えを伺いたい。
答:厳しい財政状況の中、公共施設を安全に維持管理し、また、有効活用を図っていくためには、民間事業者のノウハウを活用した管理・運営手法を導入する事も有効な手段の一つと考えています。行政が担うべき役割を整理した上で、、効果的なサービスの提供が見込まれる場合につきましては、積極的に民間事業者との連携を図っていく必要があると考えています。

質問:歴史的建造物としての価値を生かした中央公民館の利活用について、民間の資金やアイデアを活用した維持管理方法について、市の考えを伺いたい。
答:分室の建物の再生、維持管理には多額の費用がかかり、これを市が自力で行うには多くの課題があります。一方で、立地や旧勤労会館跡地を含めた土地の面積や形状を鑑みると価値の高い財産と考えられます。分室の利活用をする場合には、民間の資金やアイデアを活用する手法は選択肢の一つとして様々な可能性を探ってまいりたいと考えています。

部活動の地域移行・地域連携についてお聞きしました (文化教育常任委員会)

質問:地域移行・地域連携のメリット、デメリット、現在の進捗状況は?教育委員会と文化スポーツ部でどんな役割をそれぞれ担って移行するのでしょうか。
答:教育委員会では、まず部活動の地域連携に重点を置いて進めています。、少子化等に伴い、部活動の活動がままならなくなってしまうことを防ぐために、合同部活動や指導者の派遣などの取組を進めているところです。令和五年度に市立中学校六校に八名を配置いたしました部活動指導員は、5月1日付で9校に13名を配置しています。
答:文化スポーツ部では、昨年8月に文化団体、スポーツ団体に受入れ状況のアンケート調査を実施し、今年度連携協定を締結している市内の4つの大学を訪問して、協力要請を行っています。

質問:今までの部活動指導員はどのような報酬や仕事の形態だったのでしょうか。
答:教育指導課で所管をしております部活動指導員につきましては、現在、報酬は4,512円という形で規定で、会計年度任用職員という形で位置づけをさせていただいています。

質問:指導者の質を担保するような、ライセンスのような仕組みについては考えはありますか。
答:資格等につきましても、他市町村、県や国の動向等も踏まえながら検討はしていきたいです。指導員の質の担保については、研修会や任用の際の面接等に力を入れていきたいと考えております。

質問:基金への寄附を民間の方々と一緒につくっていくような仕組みについてはいかがでしょう。
答:部活動地域連携・地域移行は、長期的な取組になるのが予想されます。補助金等も含め、慎重に審議を進めていきたいです。

質問:部活動にも様々な種類がありますが、生徒、児童が自分たちで発案するような部活動はいかがでしょうか。これからの部活動を生徒や児童と一緒に考えていくという考えもありますか。
答:今回の部活動の地域連携・地域移行の目指す姿は、子供たちがスポーツや文化に親しむ環境を持続可能な形にしていくことが一番の重要なポイントだと思っています。御提示につきましても、他の市町村ですとか県や国の動向を踏まえながら検討していきたいと思っております。

質問:部活動への情熱を持つ先生もおられると思いますが、そうした先生方への対応は。
答:本市で進めておりますのは、休日の部活動の地域移行という大きな流れです。実際には部活動をやりたいという教職員もおりますので、教職員のそういった気持ちも大事にしながら進めて参ります。

質問:どうやって子供たちを地域の部活動に連れて行くのか。学校で行うことが前提になっているのか。また、コミュニティ・スクールや放課後子供教室など、学校での地域活動をどう整理していくのか。
答:場所の確保というのは大きな課題の一つです。現状、今、部活動が実施されております学校の活用というのは、やはり検討していく事項と思っております。そういった中に、指導者を派遣するというのも一つの方法かなと思っております。

議会活動報告「鳥の眼と小さなアンブレラ」第5号

議会での質問内容を動画でご覧になりたい方は以下のリンクをご参照ください。
人と環境に配慮した道づくり ~緑の木陰と無電柱化とほこみち~
オーバーツーリズム対策事業について

人と環境に配慮した道づくり~緑の木陰と無電柱化とほこみち~

令和6年、第3回定例会では、「ほこみち」(歩行者利便増進道路制度)について一般質問しました。ほこみちとは歩行者を大切にする道路空間のことです。質問の趣旨は次の通りです。
今や車中心社会から人間中心社会へ大きく舵が切られはじめています。人々が歩いて楽しい街を目指す上で、道路の役割は極めて重要です。地球温暖化防止のために外出時の車利用を自転車や公共機関に切り替える努力も必要とされていますが、現在の道路は歩行者や自転車に優しいとはいえません。
街路樹のある道路空間を街の活性化に利用、歩道にカフェやベンチ、キッチンカーを置き、ゆっくり滞在できる空間、居心地が良く歩きたくなるまちなか空間の創出が望まれます。そのためには行政・警察・テナント・地区住民など関係者間でまちづくりビジョンを共有、官民一体の取り組みが期待されます。良好な公共空間を形成するような、まちの価値を高める道のあり方を検討することが重要です。
街路樹の維持管理には毎年、約1億3,000万円の予算が必要となります。

苦情対応にあわせた街路樹管理にならず、市が街路樹や緑に対してどうしていきたいのか、あらためて方向性を示すことが大切です。
また、無電柱化の促進も、この問題と大いに関わりがあります。防災面のメリット、歩行者と自転車の安全、美しい景観を作ることができるということもあり、無電柱化を引き続き進めてほしいと思います。そして、路線ごとでなく、川越市全体をとらえた無電柱化の計画策定が期待されます。その際、無電柱化のデメリットであるコスト高や工期の長さなども克服できる手法を組み合わせ、計画が促進されることを期待しています。
さらに無電柱化事業と併せ、ベンチなどを設置したり、景観への配慮からガードレールを木製防護柵にすることも観光客や地元住民が歩いて楽しい街を目指す上で素晴らしいことです。また、川越市に贈与される森林環境贈与税を更に有効的に活用していただけたらと思います。

1問目:街路樹が植樹されている市道はどういう路線にあるのか。また樹木の種類について伺いたい。
回答:街路樹が植樹されている路線の多くは、一定程度の幅員の歩道を備えた路線です。そうした路線の中でも、面的なまちづくりと一体的に整備された都市計画道路で、連続的に植樹されております。樹木の種類については、イチョウやケヤキ、サクラなどが主です。
具体的な例を挙げると、砂新田の1丁目と2丁目。土地区画整理事業を行った区域の「いちょう通り」。また県道川越日高線から吉田新町2丁目にいたる「おいせ橋通り」のサクラとケヤキ。さらに
鶴ヶ島駅前から県道川越越生線に至る「けやき通り」などです。

2問目:市道における街路樹の管理方法、剪定回数について、また維持管理にかかわる予算の推移について伺いたい。
回答:街路樹の管理については、様々な街路の適切な選定や管理を行うため、専門の造園業者に通年で街路樹選定管理業務を委託。業務委託の中で行う選定については、樹種により時期は異なりますが、概ね年1回。また街路樹剪定管理業務委託に関わる当初予算の推移は、令和4年が1億4,000万円、令和5年が1億3,000万円、令和6年度が1億3,000万円です。

3問目:市道における街路樹に関するご意見は、具体的にどのようなものか。
回答:落ち葉が自宅の雨どいに詰まってしまう、雨に濡れた落ち葉が滑りやすくなる、街路樹の枝が伸びて交差点等の見通しが悪いなどといった意見や、落葉が始まる前に強く剪定して欲しいとの意見などがあります。一方で、強い剪定による樹形の乱れなどについての苦情も寄せられています。

4問目:専門家の意見を踏まえた街路樹管理について、市の考えを伺いたい。
回答:街路樹の健全性につきましては、外見からの把握が困難な場合もあり、過去には、「けやき通り」において、樹木医による診断を行っています。今後も、必要に応じて専門家に意見を求めるなど、街路樹の適正な管理に努めます。

5問目:市道整備において、これまでに取り組んできた無電柱化事業の概要について伺いたい。
回答:無電柱化については、これまでに、単独地中化方式、自治体管路方式及び、電線共同溝方式のいずれかを採用し、19路線、延長約6kmの整備を実施しております。最近の実績といたしましては、平成25年度から平成27年度にかけて、喜多院門前通り線、平成28年度から本年度にかけて、市立川越高校東側を通る都市計画道路川越駅南大塚線で実施しています。

6問目:無電柱化事業について、目的と効果について伺いたい。また課題についても伺いたい。
回答:無電柱化の目的につきましては「防災」、「安全・快適」、「景観」の観点から道路の機能を向上するものです。その効果としては「道路の安全性の向上」、「通行空間の安全性・快適性の確保」、「良好な景観形成」、「情報通信ネットワークの信頼性向上」が図られます。また、地中化方式による無電柱化での主な課題につきましては、整備にかかる費用が高くなることや工期が長くなってしまうことのほか、水道やガスの事業者との調整、無電柱化に伴う地上機器の設置場所などの地元調整に時間を要することなどがあります。

7問目:無電柱化事業にあわせて街路樹を植樹、ベンチなどの休憩スペースの設置は可能なのか伺いたい。また景観への配慮が必要な場合、木製防護柵にすることができないのか伺いたい。
回答:地中化方式による無電柱化では、地上空間に活用可能な空間が創設される一方、道路下には上下水道やガスのほか、あらたに電気、通信等のライフラインが埋設されることから、利用空間が限定されることとなります。
そのため、街路樹の植樹については、地下埋設物の確認を踏まえた植樹スペースの検討が必要であり、休憩スペースの設置については、歩行者が安全に通行できる空間を確保した上での、例えば県産木材利用の検討がありうると考えております。また、景観への配慮からの木製防護柵設置については、防護柵の安全基準適合を前提に可能性を検討していく必要があると考えております。

8問目:今後無電柱化事業をどのように進めていくのか、市の考えを伺いたい。
回答:無電柱化については、平成28年12月に「無電柱化の推進に関する法律」が施行され、都道府県や市町村に、無電柱化推進計画の策定が努力義務化されております。
そのようなことを踏まえ、今後、市域全体をとらえた無電柱化の実績や北部市街地及び3駅周辺地区における取組を整理し、無電柱化事業の推進を図るため、法律に基づく無電柱化推進計画の策定を進めていきたいと考えております。

9問目:「歩行者利便増進道路」(通称:ほこみち)制度を利用した特例区域の指定について、市の考えを伺いたい。
回答:歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)は、食事施設、休憩施設等の賑わい施設が設置可能となるなど、道路空間の活用がしやすくなる制度で、民間のまちづくりへの参加を促進する等の効果があるものと考えております。
本市としては、バリアフリー等の道路としての構造基準への適用、歩行者の安全かつ円滑な通行のための有効幅員の十分な確保、高齢者や障害者にとって安全で歩行しやすい歩道であるなどの要件を満たすことが必要であるから、現時点で指定を予定している路線はありませんが、今後、指定を検討する場合は、沿道住民の方々のご理解や関係部局、公安委員会との協議等を慎重に進めていく必要があると考えております。

10問目:まちの価値を高める特色ある空間としての道路づくりが今後求められると考えるが、市の考えを伺いたい。
回答:本市では、現在、中心市街地の渋滞緩和、産業拠点へのアクセス向上、市全体の交通ネットワークの強化・構築に向けた道路拡幅、歴史的な街並みの道筋
保全などの街路整備として、回遊する歩行者ネットワークの整備を進めているところでございます。今後の道路づくりにおきましては、自動車や歩行者の通行機能の向上を目的とした整備、安全で快適な歩行空間の創出、地域の特性を生かした「歴みち事業」等の推進、災害に強い道路網の構築など、魅力的な空間づくりの取り組みについても進めていく必要があると考えております。

オーバーツーリズム対策事業について

本年、観光庁が実施する「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」先駆モデル型に川越市がめでたく採択されました。総額1億1,991万8,000円の予算です。これに関して、質疑を行いました。

1問目:観光庁のオーバーツーリズム対策事業に申請した経緯、目的を伺いたい。
回答:従前からゴールデンウィーク期間を中心に対策を実施してきましたが、新型コロナウイルス収束に伴い急激に観光客数が増加し、特に休日の日中、一番街を中心に車両と人が接触しそうな状態が発生、また、観光客のマナー悪化も見られ、総合的対策が必要となっていました。そこで、今回観光庁の補助金を活用し、オーバーツーリズム対策を包括的に実施することにしました。本年1月に公募が開始され、2月に申請、3月に全国20地域の1つとして採用されました。その後、地域関係者との懇談会を実施し、5月に計画を提出しました。

2問目:今年度の4月下旬と5月に行われた懇談会について、会議の内容と参加団体からの意見について伺いたい。
回答:観光関連団体、交通事業者、住民団体、商店等の関係者を委員として、本市のオーバーツーリズムに関する課題、観光庁に提出する対策計画案についてのご意見をいただきました。主なものは以下の通りです。

  • 持続的な観光の発展が非常に重要
  • 住民、商店街、関連事業者等、様々な関係者の連携が重要
  • 交通問題は地域住民のことも踏まえた対策が必要
  • ごみ対策については我々商店の責任において処理すべき
  • マナーは、観光客に対してだけでなく事業者側も一緒に行う

3問目:懇談会におけるバス会社や鉄道の事業者からの意見について伺いたい。
回答:

  • オーバーツーリズム対策に関して は、公共交通である鉄道の利用者を 伸ばした方が良い
  • 一番街の観光客増加に伴い、バスの 運行が非常に危険な状態である
  • 車道に歩行者がはみ出し、車道が歩 道になる状況。バスが来ると、すれ 違いに時間がかかり遅延が発生
  • 来訪のお客様の利便性を向上させ たいと考えており、引き続き課題感 を持って取り組みたい

4問目:駐車場の混雑・満空情報の情報環境整備について伺いたい。
回答:本市が観光駐車場として管理する①土曜・日曜・祝日の市庁舎北側・南側駐車場②あぐれっしゅ川越③観光用無料駐車場について、満空状況を示す機器を整備します。

5問目:「多様な観光拠点への誘客促進」はどのような観光拠点へどのような方法で誘客を促進するのか伺いたい。
回答:対象とする観光拠点については、中心市街地内では、中心市街地周辺地域及び川越城本丸御殿地域、郊外では伊佐沼周辺地域です。誘客促進の方法については、地域の関係者との協議も踏まえ決定することとしておりますが、ARやVR等のデジタル技術を活用した内容を検討しています。また一番街からの回遊性を強化するため、案内看板の設置などにより、誘客促進を図ります。

6問目:商店街等のごみ回収とスマートごみ箱の設置に関する支援の内容、今後の継続の仕方について伺いたい。
回答:商店街によるごみ回収はもちろん、ごみが溜まると自動で圧縮するスマートごみ箱の導入に対し、補助金を交付します。来年度以降も商店街等の関係者と協議の場を設けるなど、継続的な支援をします。

7問目:川越市デジタルマップとはどのようなものか伺いたい。
回答:スマートフォン等のブラウザ上で、観光スポット、トイレの位置、交通・駐車場混雑等のリアルタイム情報をマップ上に掲載します。効果的で活用しやすい市内観光情報を入手し、時間や場所の分散化、観光客の利便性及び満足度の向上を図ります。

8問目:文化圏が異なる方へのマナー周知の手法について伺いたい。
回答:動画を活用します。様々な言語圏から訪れてくださるが、あらゆる言語での対応は困難なことから、ピクトグラムを活用します。市や小江戸川越観光協会のWebサイト・SNSによる発信の他、観光バス、店舗等での発信の協力を依頼し、広く周知を図ります。また、宗教・
風俗・習慣など文化が違う方々には、
マナー向上の取り組みとして、伝統・
文化をわかりやすく理解してもらう方策も検討します。

9問目:オーバーツーリズム対策事業に関わる事業経費について、市の財源について伺いたい。
回答:当該事業費である1億1,991万8,000円の内、60%に相当する7,994万5,000円が交付され、残額の3,997万3,000円は一般財源として財政調整基金からの繰入金により対応します。

10問目:北部市街地(一番街)の交通対策に関する検討経緯について伺いたい。
回答:市では、平成19年、北部中心市街地の交通円滑化方策について検討委員会を設置し、平成21年の交通社会実験を経て、平成23年、「一番街を終日北から南への一方通行とし、春季および秋季における一定の日曜・祝日の日を歩行者天国にする」との提言が出されましたが、住民の反対運動が起こったことにより、公安委員会等関係機関の意見も踏まえ、市としては、提言は尊重するものの、一方通行等の即時実施はせず、交通量の緩和策等に取り組みながら段階的に進めていく方針を発表しました。
同方針を踏まえ、中心市街地の交通環境向上のため、北環状線など都市計画道路整備や小仙波東交差点改良事業、パークアンドライド推進等による自動車流入抑制対策に取り組んできました。
一方、コロナ後の観光客数の増加もあり、一番街周辺の安全安心な交通環境の確保が喫緊の課題となるなか、交通量調査の実施などにより、地域の皆様とともに、北部市街地における交通規制等のあり方について検討しています。なお、交通量調査は、県道川越北環状線全線開通するなど道路環境の変化があり、今回改めて実施します。

11問目:パークアンドライド事業の調査検討の経緯と調査内容について、また既存のバス路線や駐車場を活かした方策について伺いたい。
回答:これまであぐれっしゅ川越において、パークアンドライド事業を実施し、また令和5年3月には春季秋季観光シーズンにおける実証実験を実施しました。
今回の調査では、駐車場やバス路線など、既存インフラの有効活用を前提に、北部市街地内の観光用駐車場の現状調査、市街地に流入する車両ナンバープレート調査を実施し、必要な駐車台数や効果的な位置等を分析し、郊外型駐車場候補地の選定や導入手法について検討します。

12問目:「歩行観光を改善、回遊性観光向上」について、また回遊性観光向上についての基本的計画の概要及び目的と今後の事業展開について伺いたい。
回答:「歴史的地区環境整備街路事業」は、北部市街地の歴史的街並み保全と一体となった道すじの整備事業であり、電線地中化や道路美装化の実績を整理し、今後推進すべき路線の抽出や優先順位について取りまとめる予定です。
目的は、無電柱化の推進と地区内における歩行環境改善による回遊性向上や観光客分散化を図ることです。今回の調査検討を踏まえ、具体的な実施に向けた方針を立案し、オーバーツーリズム関連事業と連携を図りながら、効果的な手法の実施に向け取り組んで参ります。

13問目:「低利用空地の活用による滞留空間の創出に向けた調査や実証実験」の具体的な内容について伺いたい。
回答:一番街道路の混雑解消を図るためには、店舗の行列客や歩行者が身を置けるスペースの確保、つまり、伝建地区内の低利用空地の活用による滞留空間の創出も重要です。
伝建地区内の特徴である町屋の中庭や商店街背後の緑地等の活用の可能性を検討します。まずは有効活用されていない低利用空地の利用状況等の実態を把握、土地及び建物所有者に対し滞在空間としてのオープンスペース化にご協力いただけるか意向調査を行います。そして、取り組みにご協力いただける民有地の活用と観客の誘導策について実証実験を行い、一番街をはじめとする道路空間の混雑解消効果、今後の実効性について確認します。また、川越街並み委員会とともに地区のルール化の可能性についても検討してまいります。

人と環境に配慮した道づくり〜緑の木陰と無電柱化とほこみち2024年6月議会一般質問

 人と環境に配慮した道づくり〜緑の木陰と無電柱化とほこみちについて一般質問しました。
「車中心社会から人中心社会へ」大きく舵が切られています。そこで、歩きやすい道、人が歩いて楽しい街を目指すうえで、道路の役割が重要です。温暖化防止のためにも外出時の車利用を自転車や公共機関に切り替えたりする努力も必要とされる中、現在の道路は歩行者や自転車には優しいとは言えません。熱中症が毎年増えていて、熱中症予防として、特に夏場は日中は外に出ない、涼しい家の中にいるよう市からも対策が出されています。
樹木の維持管理にも、市の予算で毎年約1億3000万円がかかります。苦情対応にあわせた街路樹管理にならずに市が街路樹や緑に対してどうしていきたいのか、あらためて方向性を示していただきたいと思います。
 次に無電柱化の促進は、防災面からのメリットがあり、電気や情報通信回線の被害も軽減しするとともに、歩行者と自転車の安全を図り、美しい景観を作ることができるということもありますので、無電柱化を引き続き進めていっていただけたらと思います。そして、路線ごとでなく、川越市全体をとらえた無電柱化の計画の策定が進むことを期待します。その際に、無電柱化のデメリットであるコスト高や工期の長さなども克服できる手法を組み合わせることで実現できると期待しています。
さらに無電柱化事業にあわせて街路樹を植樹、ベンチなど設置したり、景観への配慮からガードレールを木製防護柵にしたりすることができたら、観光客や地元住民が歩いて楽しい街をまちを目指す上でも素晴らしいことです。川越市に贈与される森林環境贈与税を更に有効的に活用していただけたらと思います。
最後に、道路空間を街の活性化に活用し、歩道にカフェやベンチ、キッチンカーなどを置き、ゆっくり滞在できる空間、居心地が良く歩きたくなるまちなか空間」を創出する上で、行政・警察・テナント・地区住民など関係者間でまちづくりビジョンを共有し、官民一体の 取り組みができたらと期待しております。そして良好な公共空間を形成するような、まちの価値を高める道のあり方を検討して欲しいと思います。


人と環境に配慮した道づくり〜緑の木陰と無電柱化とほこみちについて全文一般質問と答弁

質問1 川越市で熱中症警戒アラートが発表された回数について伺います。
そんな中、世界で注目されている取り組みが、緑の木陰を増やすことです。世界では、樹木の枝や葉で道路の舗装面を覆う取り組みが進んでいます。しかし 日本の道路緑化は「樹冠被覆率」の対応が明記されず、多くの木が今でも枝を丸く、強く剪定されています。
答弁 熱中症警戒アラートの月別発表回数についてでございます。
過去3年間で申し上げますと、
令和3年度には、7月2回 8月5回 計7回、
令和4年度には6月3回 7月5回 8月8回 計16回
令和5年度には7月11回 8月13回 9月1回 計25回となっています。
なお、 今年度につきましては4月24日から10月23日までが運用期間になっておりますが、本日までに発表された日はございません。
質問2 熱中症で救急搬送された人員数の過去3年間の推移と直近の令和5年度の月ごとの人員数について併せて伺いたい。
答弁 重症で救急搬送された人員数の推移についてでございます。
川越地区消防組合に確認した過去3年間の数値でお答えいたします。
なお、川島町の人子も含まれております。
令和3年度が168人令和4年とか242人令和5年度が331人です。
令和5年度の月ごとの人員数でございますが
5月が15人、6月が34人、7月が143人、8月は99人、9月が40人でございます。
質問3 道路に設置される植樹体の役割について伺いたい。
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答弁 道路に設置する植樹帯の役割について、でございます。植樹帯につきましては、自動車と歩行者を分離し、交通の安全性や快適性の向上に役立つとともに、街並みに統一感を与え、沿道との景観の調和を図り風到美観を向上させる役割がございます。
また、街路樹により日差しを柔らげ、周囲の気温上昇の緩和するほか、火災時に延焼を防止するとともに、地震時の家屋倒壊防止等の役割も持ち合わせております。
質問4 街路樹が植樹されている市道はどういう路線にあるのか。また樹木の種類について伺いたい。
答弁 街路樹が植樹されている市道と樹木の種類についてです。
街路樹が植樹されている人の多くは、一定程度の幅員の歩道を備えた路線となっており、そうした路線の中でも、面的なまちづくりと一体的に整備された都市計画道路などに、連続的に植樹されております。
また、その樹木の種類につきましては、イチョウやケヤキ、サクラなどが主なものとなっております。
具体的な例を申し上げますと、砂新田の1丁目と2丁目にございます、土地区画整理事業行った区域の「いちょう通り」がございます。
また県道川越日高線から吉田新町2丁目に到る『おいせ橋通り」の桜とケヤキ、さらに鶴ヶ島駅前から県道川越越生線に到る「けやき通り」などがございます。
質問5 市道における街路樹の管理方法、剪定回数について伺いたい。
また維持管理にかかわる当初予算の推移について伺いたい。
答弁 街路樹の管理につきましては、様々な街路の適切な選定や管理を行うため、造園に関する知識や技術を有する技術者を配置できる者に、通年で街路樹選定管理業務を委託しております。
業務委託の中で行う選定の開始につきましては、樹種により時期は異なりますが、概ね年1回となっております。
また街路樹剪定管理業務委託に関わる当初の予算の推移につきましては、
令和4年が1億4000万円
令和5年の1億3000万円
令和6年度が1億3000万円 となっております。
質問6 市道における街路樹に関するご意見は、具体的にどのようなものなのか伺いたい。
答弁 苦情につきましては、落ち葉が自宅の雨どいに詰まってしまう、雨に濡れた落ち葉が滑りやすくなる、街路樹の枝が伸びて交差点等の見通しが悪いなどといった意見や、落葉(らくよう)が始まる前に、強く剪定することを求める意見などがございます。
一方で、強い剪定による樹形の乱れなどによる関する苦情も寄せられております。
質問7 市道整備において、これまでに取り組んできた無電柱化事業の概要について伺いたい。
 答弁 本市が取り組んできた無電柱化につきましては、これまでに、単独地中化方式、自治体管路方式及び、電線共同溝方式のいずれかを採用し、19路線、延長約6キロメートルの整備を実施しております。
最近の実績といたしましては、平成25年度から平成27年度にかけて、喜多院門前通り線を、また平成28年度から本年度にかけて、市立川越高校東側を通る都市計画道路川越駅南大塚線で実施しております。

質問8 無電柱化事業について、目的と効果について伺いたい。また課題についても伺いたい。
答弁  無電柱化の目的につきましては「防災」,「安全・快適」,「景観」の観点から道路の機能を向上するものでございます。
その効果といたしましては「道路の安全性の向上」,「通行空間の安全性・快適性の確保」、「良好な景観形成」、「情報通信ネットワークの信頼性向上」が図られるものでございます。
また、地中化方式による無電柱化での主な課題につきましては、整備にかかる費用が高くなることや工期が長くなってしまうことのほか、水道やガスとの各占用事業者との調整、無電中化に伴う地上機器の設置場所などの地元調整に時間を要することなどがございます。
質問9 クールシェアの市の取り組みについて伺いたい。
 答弁 クールシェアとは、真夏の暑い日に、家庭では、複数台のエアコンの使用をやめ、なるべく 一部屋に集まる工夫をしたり、公民館や図書館などの公共施設を利用したりすることで涼をシェアし、一人当たりのエアコン使用をし見直すという考え方ございまして、家族や地域で楽しみながら節電に取り組むことができると言われています。
本市におきましては、平成25年からクールシェア川越として、複数の公共施設をクールスポットで選定し、電力需要が高まる4月から9月までの間の節電対策として実施して参りました。
今年度につきましては、本年4月に施行された改正気候変動的適応法に規定される指定暑熱避難施設の役割を併せ持つ事業といたしまして、「指定暑熱避難施設(川越ひと涼み処)」指定事業を実施する予定でございます。
質問10 今後、街路樹を管理する上で、専門家の意見を踏まえた管理手法について,市の考えは。
答弁 専門家の意見を踏まえた街路樹の管理についてでございます。
街路樹の管理につきましては、必要な知識や機能を有する技術者を配置できる者に委託しているところでございます。
しかしながら、街路樹の健全性につきましては、外見からの把握が困難な場合もあり、過去には「けやき通り」において、樹木医による診断を行ってでもございます。
今後も、必要に応じて専門家に意見を求めるなど、街路樹の適正な管理に努めて参りたいと考えております。
質問11 無電柱化事業について、災害対策としてどのような機能があるか伺いたい。さらに、無電柱化事業にあわせて、間伐材など県産の木材を利用したベンチなどの休憩スペースの設置は可能か。
答弁 災害対策としての機能についてでございます。無電柱化の促進は、台風や地震時に電柱が垂れ下がったりすることにより、通行が困難になるリスクが回避され、避難路や緊急車両の円滑な通行が確保できる防災面からの機能がございます。
さらに、電線類の地中化により、災害時の電気や情報通信回線の被害を軽減し、ネットワークの安全性・信頼性が向上できる機能もございます。
質問12 無電柱化事業にあわせて街路樹を植樹し、ベンチなどの休憩スペースの設置は可能なのか伺いたい。また景観への配慮が必要は場合、木製防護柵にすることができないのか伺いたい。
 答弁 地中化方式による無電柱化では、地上空間に活用可能な空間が創設される一方で、道路下には上下水道やガスのほか、あらたに電気、通信等のライフラインが埋設されることから、利用空間が限定されることとなります。
そのため、街路樹の植樹につきましては、地下埋設物の確認を踏まえた植樹スペースの確保等の可能性についても検討していく必要があると考えております。
休憩スペースの設置につきましては、歩行者が安全に通行できる空間を確保した上で、例えば県産の木材をふまえた検討が必要であると考えております。
また、景観への配慮が必要な場合の木製防護柵の設計につきましては、防護柵の安全基準に適合することを前提に、道路環境考慮しながら可能性を検討していく必要があると考えております。
質問3 今後、無電柱化事業をどのように進めていくのか、市の考えを伺いたい
答弁 今後の無電柱化事業の進め方についてございます。無電柱化については、平成28年12月に「無電柱化の推進に関する法律」が施行され、都道府県や市町村に、無電柱化推進計画の策定が努力義務化されております。
そのようなことを踏まえ、今後、市域全体をとらえた無電柱化の実績や北部市街地及び3駅周辺地区における取組を整理し、無電柱化事業の推進を図るため、法律に基づく無電柱化推進計画の策定を進めていきたいと考えております。
質問14 「歩行者利便増進道路」(通称:ほこみち)制度を利用した、特例区域を指定について、市の考えを伺いたい。
 答弁 歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)制度を利用した、特例区域を指定についてですが、
歩行者利便増進道路(通称:ほこみち)は、道路管理者が指定することにより、食事施設、休憩施設等の賑わい施設を道路占用により設置可能となるほか、占用者の公募により占用期間が最長20年延長となるなど、道路空間の活用がしやすくなる制度で、この制度を利用することにより、民間のまちづくりへの参加を促進する等の効果があるものと考えております。
本市といたしましては、バリアフリー等の道路としての構造基準への適用のほか、歩行者の安全かつ円滑な通行のための有効幅員が十分に確保でき、高齢者や障害者にとって安全で歩行しやすい歩道であるなどの要件を満たすことが必要であるから、現時点で指定を予定している路線はありませんが、今後、指定を検討する場合は、沿道住民の方々のご理解や関係部局、公安委員会との協議等を慎重に進めていく必要があると考えております。
質問15 官と民が連携し、一体的な空間を創出するまちづくり施策として、「まちなかウォーカブル推進事業」があるが、今後、市として取り組んでいく可能性について伺いたい。
  答弁 まちなかウォーカブル推進事業を今後、市として取り組んでいく可能性について、でございます。 まちなかウォーカブル推進事業は、「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりを促進するため、道路・公園・広場等の既存ストックの改修・改変を実施することに伴い、民間事業者による沿道店舗のオープンテラス等の取組や、公共空間を利用した賑わいイベント等の実施が見込まれている場合に、活用する事が有効な事業だと認識しております。
本市においては、民間主体による、まちづくりの取組が活発であるなか、民間による公共空間を活用した賑わいの創出や、その活用により得た収益を、公共空間の管理等に還元する事による、行政負担の軽減等のメリットも期待されますが、本事業の活用に当たっては、関係者間でまちづくりビジョンの共有と、官民一体の 取り組みとしていくための、多岐にわたる調整が必要になるものと考えていており、引き続き、地域の実情を踏まえ、本市における活用の可能性について、検討してまいりたいと考えております。
質問16 まちの価値を高めるような特色づくり空間としての道路のあり方が今後求めらると考えるか、市のお考えを伺いたい。
今後の道路づくりにおいての考えについて、でございます。本市では、現在、中心市街地の渋滞緩和、産業拠点へのアクセス向上、市全体の交通ネットワークの強化・構築に向けた道路拡幅や歴史的な街並みの道筋の保全などの街路整備として、回遊する歩行者系ネットワークの整備を進めているところでございます。今後の道路づくりにおきましては、自動車や歩行者の通行機能の向上目的とした整備、安全で快適な歩行空間の 創出、地域の特性を生かした暦みち事業等の推進、災害に強い道路網の構築など、魅力的な空間づくりの取り組みについても進めていく必要があると考えております。

「オーバーツーリズム対策事業」について 質疑しました。 議案第79号令和6年度川越市一般会計補正予算(第2号)質疑

2024年6月7日の質疑で、観光庁が実施する「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」における先駆モデル型に川越市が申請し、全国20地域の一つとして採択が決定されれました。詳しくお聞きしました。総額1億1991万8千円(国から約八千万円、市からも役四千万円)を計上した、「オーバーツーリズム対策事業」、どんな内容なのか是非、答弁をきいてみてください。

1問目、観光庁のオーバーツーリズム対策事業に事業申請をした経緯、目的について伺いたい。
 答弁(産業観光部 観光課)
本市における観光客の増加に伴う課題への対策につきましては、従前からゴールデンウィーク期間を中心に実施してきたところでございます。
しかしながら、その他の期間におきましても、新型コロナウィルスの収束における急激な観光客数の増加に伴い、特に休日の日中においては、一番街を中心にして車両と人の錯綜等による危険な状態等の発生、観光客のマナーの悪化が見られる状況であり、総合的な対策の必要性が生じているところでございます。そこで、今回観光庁の当補助金を活用してオーバーツーリズム対策を包括的に実施することとしたものでございます。
手続きといたしましては、本年1月に一次公募が開始され、2月に申請を行い、3月に「先駆モデル事業地域型」の20地域の1つとして採用されました。。 その後、地域関係者との懇談会等を実施し、対策計画を取りまとめ、5月に提出したところでございます。
2問目、  今年度の4月下旬と5月に行われた懇談会について、会議の内容と参加団体からの意見についてお伺いしたい。
 答弁(産業観光部 観光課)
はじめに、懇談会の内容につきましては、観光関連団体、交通事業者、住民団体、商店等の関係者を委員として、本市のオーバーツーリズムに関する課題や観光庁に提出する対策計画案に対するご意見等をいただいたところでございます。参加団体からの意見については、主なものは以下の通り。
持続的な観光の発展が非常に大切である
住民、商店街、関連事業者等、様々な関係者の連携が重要
交通問題は地域住民のことも踏まえた対策が必要である
ゴミ対策については我々商店の責任において処理すべきだと思っている
マナーは、観光客に対してだけでなく、事業者側も一緒にやらなければならない
3問目、 懇談会において、オーバーツーリズムに関する現状の認識について、バス会社や鉄道の事業者からどのような意見があったのか。(産業観光部 観光課)
 答弁(産業観光部 観光課)
懇談会におけるバスや鉄道事業者からの主の意見について
オーバーツーリズム対策に関しては、公共交通である鉄道の利用者を伸ばした方が良い
最近の一番街の観光客増加に伴い、バスの運行が非常に危険な状態になっている
・車道に歩行者がはみ出し、車道が歩道になってしまうと言う状況でバスが来ると、すれ違うことができず、運行が止まってしまうため、遅延が発生している。
来訪のお客様の 利便性を向上させたいと考えており、引き続き課題感を持って取り組んでいきたい
4問目「駐車場の混雑・満空情報の情報環境整備について」1657万7千円が計上されていますが、駐車場の混雑・満空情報の情報環境整備について事業の詳細をうかがたい。
  答弁(産業観光部 観光課)
本市が観光駐車場として管理している、土曜・日曜・祝日の市庁舎北側・南側駐車場及びあぐれっしゅ川越と共同の観光用無料駐車場において、混雑や満空状況を把握できる情報環境を整備するものでございます。具体的には観光用無料駐車場の入り口付近に・満空情報を表示することに加えて、同駐車場及び土曜・日曜・祝日の市庁舎北側・南側駐車場の満空情報のデータできる機器を取り付けるものでございます。
5問目 「多様な観光拠点への誘客促進」に1000万円が計上されていますが、どのような観光拠点へどの様な方法で誘客を促進するのか伺いたい。
  答弁(産業観光部 観光課)
はじめに、対象とする観光拠点につきましては、中心市街地内では、中心市街地周辺地域及び川越城本丸御殿地域、郊外では伊佐沼周辺地域を中心に考えております。
次に、誘客促進の方法につきましては、地域の関係者との協議も踏まえ決定することとしておりますが、ARやVR等のデジタル技術を活用した内容を検討することとしております。
また、観光客が集中している一番街からの回遊性を強化するため、案内看板を設置すること等により、誘客促進を図って参りたいと考えております。
6問目 「ごみポイ捨て対策支援」に1060万円が計上されておりますが、「商店街等のごみ改修とスマートゴミ箱の設置に関する支援の内容をそれぞれ伺いたい。また、これらの支援を、今後どの様に継続してゆくのか伺いたい。
   答弁(産業観光部 観光課)
ゴミポイ捨て防止支援策についてでございます。商店街等が実施主体として想定される、ゴミ回収始めとしたポイ捨て防止対策活動に関わる経費やゴミが溜まると自動で圧縮する機能等を有するスマートゴミ箱の導入にかかる経費に対して、補助金を交付する形での支援を予定しております。今後の支援につきましては、来年度以降も商店街等の関係者と協議の場を設けること等により、継続的な支援をして参りたいと考えております。
7問目、「デジタルマップ制作」に620万円が計上されておりますが、川越市デジタルマップとはどの様なものか伺いたい。
答弁(産業観光部 観光課)
デジタルマップとは、紙の地図とは異なり、パソコンやスマートフォン等のブラウザ上で見ることができるデジタル形式の地図でございます。
当マップ上において、多様な観光スポットやトイレ設置箇所等の位置情報や、交通駐車場情報とのデータ連携による交通・混雑等のリアルタイム情報マップ上に掲載することにより、観光客が、旅前、旅中において、効果的で活用しやすい市内観光情報を入手し、時間や場所の分散化、観光客の利便性及び満足度の向上を図ろうとするものでございます。
8問目、「マナー等向上事業」200万円が計上されておりますが、文化圏の違う方たちへのマナー周知の手法について、どの様に考えている伺いたい。また本事業を実施するにあたり周知方法についても伺いたい。
答弁(産業観光部 観光課)
マナー向上についてわかりやすく周知するため、動画を活用して周知することを予定しております。 本市の外国人観光客は様々な言語圏から訪れており、あらゆる言語での対応は困難なことから、ピクトグラム等を活用し、動作によりわかりやすい内容とすることを考えております。
また周知方法につきましては、市や小江戸川越観光協会のウェブサイト・ SNSにおいて発信するほか、観光バス、店舗等での発信の協力を依頼することなどにより、 広く周知を図って参りたいと考えております。
このほか宗教・風俗・習慣など文化が違う方々には、マナー向上の取り組みとして、伝統・文化をわかりやすく理解してもらう方策も検討して参りたいと考えております。
9問目、 市内には観光を推進する団体等があると思うが、(観光協会など)その様な団体との連携はどのように考えているのか伺いたい。
答弁(産業観光部 観光課)
観光関連団体につきましては、懇談会の構成員となっていただいた団体を中心に、対策事業の効果測定等に関わるデータの収集・分析や混雑状況・デジタルマップとの情報発信に置いて、連携を図るとともに、継続的にオーバーツーリズム対策に関する協議を重ね、次年度以降の効果的な対策について検討します。
10問目、 今後、市内の地域団体、事業者、商店街、自治会などの意見を聞きながら、事業を進めてゆくことが重要であると思うが、どのように考えているのか。
答弁(産業観光部 観光課)
今後、関係者から意見を聞きながら事業を進めていくことについての考えてございます。
取り組もうとしている対策の中には当然、今年度だけでは完了しないものもございますので、今回の対策の策定に関し、ご意見をいただいた懇談会、協議会の皆様とは、今後も継続して協議し、ご意見を伺い、効果的な事業を実施して参ります。
11問目、 オーバーツーリズム対策事業に関わる事業経費について、改めて、補助金が交付される部分以外の財源は、どの様に対応するのか伺いたい。
答弁(財政部 財政課)
本事業につきましては、観光庁が実施する「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する持続可能な観光推進事業」の先駆モデル地域型に本市が採択されたことに伴い、関連経費の3分の2が交付されたものでございます。 本補正予算につきまして、当該事業費として1億1991万8,000円を計上しておりますが、その3分の2に相当する7994万5,000円を特定財源として計上するとともに、その残額の3397万3,000円は一般財源として財政調整基金からの繰入金により対応したところでございます。
12問目、「北部市街地交通対策に関する調査検討」について、2509万1千円が計上されております。北部市街地交通対策に関する検討について、過去の調査も含め、実施する経緯を伺いたい。
答弁(都市計画部 交通政策課)
北部市街地交通対策に関する検討経緯について、市では、平成19年に北部中心市街地の交通円滑化方策について検討するための検討委員会を設置し、平成21年の交通社会実験を経て、平成23年には同委員会により「一番街を終日北から南への一方通行とし、また、春季および秋季における一定の日曜・祝日の日を歩行者天国にする」との提言書が提出されました。これに対し住民の反対運動が起こったことを受け、 公安委員会等の関係機関の意見も踏まえ、市としては提言は尊重するものの、一方通行等の即時実施はせず、交通量の緩和策等に取り組みながら段階的に進めていく方針を公表いたしました。
同方針を踏まえ、まずは中心市街地の交通環境の向上を図るため、埼玉県による北環状線整備などの都市計画道路の整備や小仙波東交差点等の改良事業、パークアンドライドの推進等による自動車流入抑制対策等に取り組んできたところでございます。
一方で、コロナ後の観光客数の増加もあり、一番街周辺の安全安心な交通環境の確保が喫緊の課題となる中で、国の施策も活用して、交通量調査の実施やさらなる交通円滑化策に取り組みながら、地域の皆様とともに、北部市街地における交通規制等のあり方について検討して参りたいと考えております。
なお、交通量調査は、平成28年に川越市都市・地域総合交通戦略の策定を目的として実施いたしましたが、平成31年に県道川越北環状線が全線開通するなど道路環境も変わってきたことから、今回改めて実施するものでございます。
13問目、「交通シュミレーション調査」に650万円が計上されていますが、交通シュミレーション調査とはどのようなシュミレーションなのか。また、今後どの様に活用してゆくのか伺いたい。
答弁(交通政策課)
交通シミュレーションについては、一般的に、交通対策の実施に先立って、当該対策案を実施することにより、車の流れの変化や主要交差点における渋滞状況、バスの遅延等の周辺交通に与える影響データ分析し、対策案の妥当性を検証するために行うものであり、今回実施する予定の交通量調査の結果をもとに、複数の交通規制案について、実施した場合に生じる周辺交通消への影響を分析し、その結果を踏まえ、北部市街地における交通規制の方法や条件、影響を緩和させるための交通円滑化策について検討してまいります。
14問目「パークアンドライド事業の拡張性等に関する調査検討」に約2002万3千円計上されておりますが、これまでの経緯と、調査内容を伺いたい。また、既存のバス路線や駐車場を活かした方策について、どのように考えているのか伺いたい。
答弁(都市計画部交通政策課)
パークアンドライド事業に関わる取り組む経緯と今回の調査内容等について、本市においてはこれまでもあぐれっしゅ川越において、パークアンドライド事業を実施しており、また令和5年3月には、春季秋季の観光シーズン通におけるパークアンドライド事業の強化策を検討するため、実証実験を実施して参りました。
実証実験の結果から、郊外型駐車場が不足するのは、観光客の集中する休日やイベント時にかぎられる中で、恒常的な駐車場を新たに整備するだけでなく、民間駐車場含めた既存の駐車場を活用する必要性や、中心市街地等の目的までの移動手段として既存のバス路線を活用することについて、検討が必要との結論にいたりました。
こうしたことを踏まえ、今回の調査では、駐車場やバス路線など、既存のインフラを有効活用することを前提として、北部市街地内の観光用駐車場の現状調査と、市街地に流入する車両ナンバープレート調査を実施し、必要な駐車台数や効果的な位置等を分析した上で、郊外型駐車場の候補地の選定や導入手法について検討して参りたいと考えております。
15問目「歩行観光の改善による回遊性の向上に関する調査検討」(900万円が計上)について、時の鐘を中心とした130hの地区とはどこを指すのか。また回遊性の向上に関わる基本的な計画の概要、目的と 今後の事業展開について伺いたい。
答弁(建設部 道路街路課)
回遊性の向上に関する調査についてで、時の鐘を中心とした130ヘクタールの地区つきましては、北部市街地の歴史的な街並みの保全と一体となった道すじを街路整備として取り組んでおります「歴史的地区環境整備街路事業地区」で、いわゆるれき道地区でございます。
基本的な計画の概要につきましては、街路整備として取り組んで参りました電線類地中化や道路美装化等の実績を整理し、今後推進する路線の抽出や優先順位の評価等を取りまとめる予定でおり、無電柱化の推進と地区内における歩行環境の改善による回遊性の向上や観光客の分散化を図ることを目的としております。
事業展開につきましては、今回の調査検討を踏まえ、具体的な実施に向けた方針等立案し、オーバーツーリズム関連事業と連携を図りながら、効果的な手法の実施に向け取り組んで参りたいと考えております。
16問目 本事業の中で「低利用空地の活用による滞留空間の創出に向けた調査や実証実験」について」どの様な調査や実証実験を行うのか。
答弁 (都市計画部都市景観課)
伝建地区内の低利用空地の活用による滞留空間の創出について、一番街を始めとする道路の混雑解消を図るためには、店舗の行列客や歩行者が身を置けるスペースを確保することが必要であると考えております。
本市では、これまでもポケットパークや広場を整備して参りましたが、さらなる滞留スペースの創出を図るため、伝建地区内の特徴でもある町屋の中庭や商店街背後の緑地等の活用可能性を検討するため、まずは有効活用されていない低利用空地の利用状況等の実態把握と土地及び建物の所有者への滞在空間としてオープンスペース化に関わる意向調査を行った上で、取り組みにご協力いただける民有地の活用と観客の誘導策に関わる実証実験を行い、一番街をはじめとする道路空間の混雑解消効果と今後の実効性について確認するものでございます。
なお、地元の川越街並み委員会の自主ルールである「町づくり規範」では「店舗導入部の空間づくり」のルールにより店内の来店客を招き入れることが推奨されておりますので、川越街並み委員会とともに地区のルール化の可能性についても検討して参りたいと考えております。

議会活動報告「鳥の眼と小さなアンブレラ」第4号

議会での質問内容を動画でご覧になりたい方は以下のリンクをご参照ください。
川越市議会 議会中継 – 発言内容

川越市交通シンポジウム開催「ほこみち~人中心の交通政策へ」

昨年の一般質問「川越を学ぶ滞在型観光」では、観光客で溢れる街になった川越における交通対策への課題などを質問しました。
2023年の川越観光客数は719万1000人(日本人657万6000人、外国人61万5000人)となり、2019年(新型コロナ流行前)の700万人を超えました。来日する外国人の増加により著しく増加しています。そのような中、令和5年度川越市交通シンポジウムが1月26日(金)にやまぶき会館ホールで開催されました。参加者は104名でした。
基調講演では、埼玉大学大学院教授の久保田尚氏に「人中心」の道路交通政策への大転換について講演いただきました。中心市街地に車両を流入させない国内外の事例や、観光客に一定の負担を求め地域に還元する駐車場等の事例を紹介するとともに、人中心の道路·交通体制の転換に関わる国や全国自治体の動き、住民との合意形成を図りながら一方通行化·歩行者専用化を進めてきた事例などを発表しました。
地域における交通政策の取組紹介として、京都市の「歩くまち·京都と観光対策について」では、人と公共交通優先の「歩いて楽しいまち」の実現を目指す京都の取り組み。出雲市の「出雲大社の神門通り整備について」では、生活交通に配慮しながら歩行空間を確保する「シェアードスペース」の整備について地域との合意形成のポイントについて紹介され、朝霞市の「官民連携の良いまちづくりと歩きやすい駅前通り」と言う官民連携組織「あさかデザイン会議」の取り組みなどの発表とパネルディスカッションが行われました。
川越市はこのシンポジウムを市民や民間団体との話し合いの糸口として、連携して「ほこみち~人中心」の交通政策を改めて進めていくことに舵を切りました。

文化教育常任委員会での質疑「小中学校の適正規模、適正配置審査議会条例を定める条例について」

川越市人口推計と将来の学齢者数によると、少子化が最大規模時の半数になることを想定した検討が行われています。
学校から自宅までの距離は、小学校4km、中学校6km(川越駅から川越市役所まで半分の2.3kmですからかなりの距離です)と考えられています。適正配置について質疑を行いました。また、学級数では、小学校12~18学級、35人以下学級で配置することを考えたいとのことでした。
それぞれ歴史があり、同窓会組織もある小中学校をどう統合することが可能なのでしょうか。
例えば、川越小学校は江戸時代の藩校を受け継ぎ、川越第一小学校は明治時代の官吏の子弟が通っていたなど、それぞれ歴史と伝統があり、同窓会組織も強く、統合が難しいとも考えられます。教育委員会からは、卒業生や地域の方々と丁寧に協議を進めながら取り組んでいくとのことでした。
小中学校の統合の一つの形としての義務教育学校や、小中一貫校についての可能性についても質問しました。義務教育学校や、小中一貫校については、教員の配置と教育効果などを考えながら研究を進めてまいりたいとのことでした。

令和6年第1回定例会の様子

文化財保存活用地域計画と歴史遺産の観光活用

2023年12月に文化庁から認定された「川越市文化財保存活用地域計画」について質疑を行いました。

問1 「川越市文化財保存活用地域計画」とは
答弁 令和6年度から令和15年度までの10年間にわたり、地域の多様な歴史遺産を、住民、民間団体、行政等が地域総がかりで総合的に一体的に保存・活用し、地域の特徴を生かした地域振興に資するとともに、確実な文化財の継承につなげていこうとするものです。全国で139件、本市は県内では5番目に認定を受けています。

問2 「川越市文化財保存活用地域計画」の目的は
答弁 川越市では川越城と旧城下町を中心にした歴史遺産を、まちづくりや観光に活かしてきました。一方で、旧城下町以外の歴史資源については、専門的な調査が十分に行われず、実態が不明確であったり、それらの情報が住民や観光客に十分に発信されず、注目されにくい状態でした。川越市全体の歴史遺産を計画的に調査、把握して、どのように保存・活用につなげていくのかが課題となっています。今後、川越市全域の歴史遺産の把握や、地域の状況と課題を明らかにし、地域の歴史遺産の保存と活用をさらに進めていくことが重要であると考えています。

問3 関連文化財群とはどのような考え方でしょうか?
答弁 これまで個々の歴史遺産だけで語られてきた地域の歴史を、いくつかの歴史遺産に結びつけて1つの物語としてまとめたもので、川越の歴史を語る1つの手法として提示したものです。本計画では、5つの関連文化財群を設定しており、①ヒト、モノ、コトの集積地 ②「小江戸」文化 ③新しい物好き ④台地の暮らし・低地の暮らし ⑤災害と復興の歩みといたしました。例えば、②「小江戸」文化とは川越と江戸・東京との密接なつながりを示す歴史遺産を「小江戸」と言うキーワードでまとめたものとなります。

問4 文化財保存活用区域とはどのようなものでしょうか
答弁 現在、市内には、本庁地区を始めとする12の地区があります。この地区は、1955年まで市や村だった区域で、今も地区と言う行政区域として用いられている歴史的・文化的背景を持つ枠組みであることから、計画では、この地区をそのまま文化財保存活用区域としています。
現在この地区ごとに地域の人たちとともに、より良い地域づくりに向けた話し合いを行う場として、地域会議の設置が進んでおり、地域が抱えるさまざまな課題に対処するため、その下に部会を設けて、その解決に向けた取り組みを行っています。こうした、地域会議の枠組みを参考に、部会等による歴史遺産の調査を通じて、地域総がかりで文化財を守る体制を目指してまいります。

問5 回遊型の観光が求められる中、文化財をどのように活用するのですか
答弁 令和6年度から同15年度までの10年間の計画では、関連文化財群の周知を目的としていますが、関連文化財群を通してあらたな周遊ルートの検討が、旧城下町からその周辺部へと、市内全体の回遊を促し、観光客のみならず市民にとっても、歴史遺産の再発見につながるものと考えています。

問6 歴史遺産を保存活用する体制を強化する方策は
答弁 文化財保存活用区域を設定しており、特に重点地域として設定した地区において、まずは地区のことを学ぶため、地区の公民館と連携し、座学やフィールドワークを行います。その後、市民の活動団体(仮称)「文化財探検隊」を育成し、歴史遺産を調査する計画です。地域会議の枠組みを参考に、部会等による歴史遺産を調査してゆく中で、それらを支えてきた人々の思いも共有し、地域総がかりで歴史遺産を守る体制を目指してまいります。
また、姉妹都市の小浜市では、令和2年度に文化財保存活用地域計画の認定を受け、令和4年度には4つの団体を、文化財保存活用支援団体に指定しており、こうした他市における先進事例を参考に、今後、本市でも、文化財保存活用支援団体を指定することで、歴史遺産を保存活用していくことも併せて検討して参りたいと考えています。

関連文化財群と文化財保存活用地域計画

川越まつりの現状と課題と財源確保策について

2024年2月16日の産経新聞の記事によると、川越市を訪れる外国人観光客の数が前年の約6.2倍と激増し、過去最大数の倍近くに達しています。これは特異な伸びと言えます。
ユネスコ無形文化遺産である川越まつりは、山車持ち町内にとって山車の組み立てから解体まで運営費負担が大きく、深刻な担い手不足も問題となっています。こうした状況から、祭の継続が危ぶまれています。
令和5年度 第3回定例会の一般質問「川越を学ぶ滞在型観光」で、川越らしさを発信する取り組みの一つとして、インバウンド向けの川越まつりの工夫について伺いました。
川越まつりは神事であるため、財源確保を強調するのは神聖性を損ねるという考え方もあります。しかし、充実した経済基盤は、祭の安定的な継続と発展にとって不可欠という共通認識もあります。
そこで、歴史遺産でもある川越まつりに焦点を当て、保存と活用を図るための取り組みについて、現状や課題も含め質問させていただきます。

問7 川越まつりを運営する組織はどのようなものですか
答弁 川越まつりを主催する川越まつり協賛会は、山車保有町内協議会、囃子連合会を筆頭に、自治会連合会、川越商工会議所、小江戸川越観光協会、川越商店街連合会等で構成されており、川越市観光課に事務局が置かれています。

問8 川越まつり協賛会の事業費の推移について
答弁 新型コロナウイルス感染症による中止期間を除く、過去5年間の事業費は以下の通りです。
平成29年度: 約8千850万円
平成30年度: 約8千320万円
令和元年度: 約8千910万円
令和4年度: 約1億250万円
令和5年度: 約1億50万円

問9 川越まつりの運営にあたりどのような課題があるか
答弁 川越まつりは多くの観光客が集中するため、混雑による安全対策、仮設トイレや非常放送設備等の環境整備、飲食によるごみ処理などの経費が物価高騰により増加傾向にあります。
また、まつり文化の継承に関わる鳶、大工などの職方、町方、囃子方などの担い手不足も課題です。

問10 運営費の増加や担い手不足についてどのような対策を行なっているのでしょうか
答弁 運営費の増加については、多くが市からの補助金で賄われているため、それ以外の財源確保が重要です。現状では、多くの企業や団体等から協賛金を募り、確保に努めています。
担い手不足については、近隣の町内からの参加と協力を求め、他町内の方々と一緒に山車曳行に取り組んでいる例もあります。
また、川越まつりの当日に本市所有の猩猩 (しょうじょう)の山車に添乗する機会を増やし、囃子の披露の場を提供することで、伝統芸能の継承と後継者育成に努めてまいります。

問11 川越まつりの財源確保策について
答弁 京都の祇園祭では、有料観覧席の販売や、笹の葉で作られたお守り等の物品販売、法人化による寄付型のクラウドファンディングの実施などが行われています。
秩父夜祭でも、有料観覧席の販売、まつりのポスターや解説冊子等の物品販売が行われています。
川越まつりの財源確保策としては、他市と同様の取り組みや、過去に実施したふるさと納税の返礼品としての山車曳き等のまつり体験事業なども考えられますが、その他の手法についても幅広く調査研究してまいります。

3月にリニューアルオープンした川越まつり会館にて

クレアモール・新富町商店街の客引き防止条例の制定に向けて

令和4年度に商店街連合会から市長に要望書が出されていた客引き防止条例制定ですが、2024年1月、ようやく条例制定に向けて進むことが市長の施政方針で打ち出されました。
コロナの中で、一時減っていた客引きですが、急速に増えているこの1月、実際に防犯交通安全課の職員の方々と一緒に調査しました。路上で歩いているときに声をかけられることで、不快な思いをしたり危険を感じる人も多いことと思います。特に駅前ということで仕事帰りの女性や塾帰りの子供たちが安心して歩けるような方策が必要です。条例制定により、市民との約束として安心安全なまちづくりへの注意喚起を実践する一歩になると思います。
また「クレアモール・八幡通り・中央通り周辺地区都市景観協議会」が小江戸蔵里 ギャラリーで定期的に開催されておりますが、その中で新たな景観のルール作りに向けてどうしたら協議会の意見を、増え続けるマンションなど新たな建設に反映させられるのか話し合っています。

クレアモールの様子

ラジオ川越設立3周年記念パーティ開催

ラジオ川越設立3周年記念パーティが開催されました。開局後の8月から1年半立ち上げをお手伝いしたのが懐かしい思い出です。
特に毎週「にじのちきゅう」という番組でパーソナリティを務め、地域のまちづくりに関わる人々や高校の部活動や生徒の皆さんをゲストにお呼びして番組を作ってきたことは、大変でしたが貴重な財産になりました。現在、議会などでのスピーチにも大変役に立っています。全ての経験は生きてくるのだと思います。今後、防災ラジオなどさらに機能を高め、ますます地域で必要とされるラジオ局に成長しますよう応援します。

ラジオ川越設立3周年記念パーティの様子

金曜月一度の「居場所づくり」ミーテイング

不登校の子供の数が増え続ける中、令和4年度川越市内の公立小中学校の不登校は、トータルで780名、公立小学校290名公立中学校490名です。ちなみに令和3年度市内の公立小中学校トータル631名、令和2年度はトータルで474名から考えると明らかに増えています。
原因はコロナの状況であったり、友人関係のトラブルなどということが多いようです。
学校以外の子供の居場所がとても大切であるという話題で、シニアの居場所づくりも含め、皆さんの素晴らしい意見をお聞きしました。大人になっての引きこもりも深刻化する中、子供の時の対応がとても重要でもあります。
学校には行かなくても、子供の好きなことを通して、探究したいテーマを深めながら、自信をつけ、社会に関わっていくようになることについては、学校教育関係者ではなく、民間の方が行いやすいのではということで、自治会や介護福祉サービスの運営、プレーパーク、居場所づくりに関わっている方々とあけぼのホールサロン南通町でさまざまな意見交換をしました。毎回熱い議論であっという間の2時間でした。

北永井と合同で南通町お囃子会練習会

ようやく始まりました。この3月から4月にかけて毎週月曜日5回にわたって、北永井囃子練習会にみんなで参加させていただきました。
「テケ天ツクテケツク天ツクツ」という拍子が繰り返される「にんば」。そして「天テレツクツク天スケ天」という勢いのあるリズムの「しちょうめ」の太鼓や笛を一緒に練習させていただきました。今まで、北永井囃子保存会のみなさまには大変長い間お世話になってきました。
人口減少と高齢化の中、今後は市内地域の子供たちを中心に大人も一緒に引き継いでいけるように頑張っています。

お囃子会の練習の様子

12月議会での一般質問「広い視野や国際感覚を持ち川越の魅力を発信できる英語教育の推進 」その3

動画はこちらhttps://smart.discussvision.net/smart/tenant/kawagoe/WebView/rd/speech.html?council_id=50&schedule_id=4&playlist_id=2&speaker_id=0&target_year=2023&fbclid=IwAR1AX3E4TOfmdUwboX2ULL7QvG8wTCE_fgcc0aFsapUBaS7inia87NOeuS0

 それぞれお答えをいただき、総合的な学習の時間を中心に、それそれの地域で、地域の魅力を広く、深く知る活動や、地域と協働して行う活動などの探究的な学びに取り組んでいることなどお話いただきました。
 さいたま市の「グローバルスタディ」については、川越市としては、授業時間数の確保など、導入するには課題があると考えているが、地域の魅力を英語で発信していく力を育成することにおいて、参考となる点があるものと捉えていることや、他にも熊谷市や川口市の「ラウンドシステム」のような4〜5回テキストを繰り返し学習してコミュニケーション量を増やすことを特徴とする学習方法も参考にしているということでした。

 また川越市の海外姉妹都市交流事業が30年以上継続して実施されており、これまでに500名を超える中学生が海を渡ったことも知りました。アンケート調査では「その後の生活や就職・進路の選択等に影響を与えた」という答えがありましたが、派遣された中学生OBの中から外交官になったり、語学の専門家になったり、起業したりと、交流経験により職業の選択肢が広がったという方々のお話も伺っており、大変感動いたしました。

 「ふるさと学習」と「英語力の向上」を組み合わせて取り組む、川越らしい特色ある教育、つまり、川越の魅力を発信できる英語教育の推進によって、小中学生や高校生さらに大学生それぞれのレベルで、自分の住んでいる地域についてより深く理解し、自分の住んでいる街に興味、関心が深まることで、地域の問題を自分自身の問題としてとらえられるようになり、地域の活性化にもつながるようになる取り組みができると素晴らしいと思います。

 また、こうした小中高校生が大人になった際には、市や周辺の観光資源を海外に発信したり、さらにはインバウンド観光を促進する人材となったりして、地域社会へ貢献することも可能性も考えられます。

 小学校、中学校での学びの上に、高校との連携で、体系的に地域の魅力、文化、歴史などを学ぶグローカルな英語教育を推進することができたら観光立国を支える人材の裾野を拡げることにもなります。そうした高校レベルで、川越の魅力を発信できる「観光教育」などの創設や、更なる取り組みも提案したいと思います。

 また、NPOで行なっている英語ボランティアガイド育成講座に参加された方々が会を追うごとに増え、たくさんの市民の方が、川越の魅力に深く気づき、案内をした相手に喜ばれるだけでなく、自身の英語力やコミュニケーションスキルの向上など自己研鑽にもつながっていることは、生涯学習として素晴らしいと思いました。

 先ほどは第4期の参加者が16名というお話でしたが、第1期からトータルしますと大変な数の英語ボランテイアガイドが育成されることになり、川越まつりや喜多院など各場所で活躍されることでしょう。

 また、霞が関地区など、多くの国からのたくさんの留学生がいる大学を有する地区の可能性も、これから多いに考えるべきです。ホストファミリーや地域のイベントなど、外国人留学生が地域の方々とふれあうことで、地域に魅了を感じ、卒業後も住みたい、また戻ってきたいと思えるようなご縁を増やせれば、また彼らの生活文化を発信できる場所が川越に増えれば、川越を多彩な国際交流、異文化交流ができる街として位置付けられるようになるでしょう。外国語教育の可能性だけでなく、街そのものの新たな魅了を創出してゆくことにもなると思います。

 川越市でも、学校と地域住民等が力を合わせて学校の運営に取り組むことが可能となる、コミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)がはじまっています。学校運営に地域の特色ある取り組みを積極的に生かし、地域と一体となって特色ある学校づくりを進めていく中で、こういった活動ができたらと思います。地域や民間団体と小、中、高等学校が連携した地域活性化につながる国際交流を進めていけることが望ましいと思います。
 最後に第14問目としまして、広い視野や国際感覚を持ち、地域の誇りや自分の思いを発信していける児童生徒の育成のために、今後どのように取り組んでいくのか伺いまして、私の一般質問とさせていただきます。

 答え(教育委員会)
14 広い視野や国際感覚を持ち、地域の誇りや自分の思いを発信していける児童生徒の育成に向けた今後の取り組みについてでございます。
 今後、グローバル化が加速し、様々な業種において、現在以上に自国以外の人々との関わりが求められるようになって行くことが想定されています。本市においても、今までよりも多くの外国人が訪れ、外国語を用いて他者とコミュニケーションを図る資質・能力を育成することは、ますます重要になってるものと考えられます。
 本市といたしましては、小・中・高等学校の外国語活動・外国語科の教職員の指導力を向上させ、各学校段階の学びを円滑に接続できるようにし、英語力を系統的に育成していくとともに、児童生徒が、英語を学ぶ楽しさや意義を感じられるような授業となるよう、工夫と改善を図ってまいります。
 また、児童生徒が、ふるさと川越への愛着や誇りをもち、地域に貢献しようとする心を育むために、今後も川越市ふるさと学習を一層推進するとともに、さらには、地域人材の活用や姉妹都市交流など海外の学校と連携することで、児童生徒が広い視野から国際理解を深め、川越の魅力を積極的に発信できるような機会の充実を図って参ります。

12月議会での一般質問「広い視野や国際感覚を持ち川越の魅力を発信できる英語教育の推進 」その2

さいたま市HPより

動画はこちらhttps://smart.discussvision.net/smart/tenant/kawagoe/WebView/rd/speech.html?council_id=50&schedule_id=4&playlist_id=2&speaker_id=0&target_year=2023&fbclid=IwAR1AX3E4TOfmdUwboX2ULL7QvG8wTCE_fgcc0aFsapUBaS7inia87NOeuS0

英語教育に様々に取り組んでいただいていることはよくわかりました。現場の先生方が熱心にご苦労されている様子も伝わってまいります。
 さて、広い視野や国際感覚を持つ児童生徒の育成のためには、まず地域に誇りと愛着を持つことも重要だと考えております。自らの文化や身の回りのことを知り、それを伝える。英語科だけでなく、社会科の視点では、観光資源の現状について十分に学ぶ機会をふやし、地域が抱える課題解決についても考えることができたら素晴らしいと思います。そこで、第8問目として、本市で地域に誇りと愛着を持つ教育にはどのように取り組んでいるか伺いたい。

答え(教育委員会)
 地域に誇りと愛着を持つ教育に、どのように取り組んでいるかについてでございます。本市では、ふるさと川越への愛着や誇りを持ち、地域に貢献しようとする心を育むために、その取り組みを川越市ふるさと学習として位置づけ、全市立中学校で取り組んでおります。
  各校では、教育委員会が示したモデル計画を活用しながら、総合的な学習の時間を中心に、それそれの地域をフィールドとして、地域の実情や児童生徒の発達段階に応じて、地域の魅力を広く、深く知る活動や、地域と協働して行う活動などの探究的な学びに取り組んでいるところでございます。
第9問目
さいたま市では、「グローバルスタディ」という独自の英語教育を推進して教育効果をあげています。「グローバルスタディ」とは、小1から中3まで一貫した教科で、単なる語学学習に留まらず、よりグローバルな視点を持った生徒を育成しています。自国の文化を発信したりする能力を社会や他の科目と総合的に学ぶといったもので、テキストも英語科の先生がみんなで作っています。中学3年生でCEFR-A1レベルの生徒が86.6%に達するということで、川越市の54.5%と比べると大幅に高い達成率になっています。ちなみにさいたま市の中学生の場合、英検だけでなく、GTECという測定方法をSpeakingなどで使用しているそうです。全国の他の自治体からの視察も多いようで、4市が導入に向けて検討をしており、さいたま市のテキストなどの一部を利用したいという場合には利用可能だそうです。
 外国の方と英語で積極的にコミュニケーションを図ることができる子ども、日本や市の伝統・文化に誇りをもち、将来にわたり、社会に貢献する子どもを育てる取り組みという観点からは、川越市と「グローバルスタディ」は親和性が高いと思います。
 そこで、第9問目としては、さいたま市では、「グローバルスタディ」という英語教育を推進しているが、本市の考えを伺いたい。

答え(教育委員会)
 さいたま市で行われている「グローバルスタディ」についての考えと、他市の先進的な取り組みについてでございます。
 「さいたま市」が、「グローバルスタディ」に取り組むことで、生徒の英語力向上に成果をあげていることについては承知しております。本市としては、授業時間数の確保など、導入するには課題があると考えておりますが、地域の魅力を英語で発信していく力を育成することにおいて、参考となる点があるものと捉えております。
さいたま市HPより
第10問目として他市にも先進的な取り組みがあれば、伺いたい。

答え(教育委員会) 
現在、県内で熊谷市や川口市が全市立中学校で「ラウンドシステム」を導入しております。「ラウンドシステム」とは、教科書の全単元のストーリーを年間で4〜5巡繰り返し活用し、生徒がコミュニケーション中心の活動に取り組むことで「聞く」「読む」「話す」「書く」ことの英語4技能の使用量が増えることに伴い、英語力を伸ばす生徒が多くいることが特徴であるとされております。
 本市といたしましては、他市の英語教育の指導方法や効果等について調査研究しつつ、本市の実態に合った英語教育の構築に向けて進めてまいりたいと考えております。 
第5次川越市国際化計画の中で、多文化共生意識を持った市民の育成について記載されています。青少年との英語交流について、川越市でも取り組みが進んでいるようですし、外国人の市民が日本語や日本文化などを学ぶ仕組みや内容などの整備なども市民団代との連携で進んでいるようです。
 そこで、小学校中学校での外国語教育の先にある高校での教育ですが、
第10問目として、川越市での高校レベルでの取り組みについてお伺いしたいと思います。市立川越高等学校の英語教育における国際交流について取り組み状況を伺いたい。

答え(教育委員会)
市立川越高等学校の英語教育における国際交流について、でございます。
 市立川越高等学校では、英語宿泊研修として希望者を募り、福島県天永村にあるブリティッシュヒルズにおいて、オールイングリッシュの2泊3日で研修を実施しております。70種類以上の研修講座から英語の体験活動を行い、英語によるコミュニケーションを学んでおります。

 また、英語での取り組みを踏まえ、姉妹友好としであるアメリカオレゴン州セーレム市にございますノースセーレム高校との間で国際交流として1年ごとに相互訪問をしております。今年度は8名の生徒が訪問に参加し、相手校の授業への参加や、市内散策、大学訪問、ホストファミリーとの生活などを実施いたしました。現地の生徒と交流する際には、お互いの文化を伝えあうために、本市の生徒らはソーラン節を披露したり、折り紙や川越に纏わるお土産を渡したりするなど、日本の文化と川越の魅力を伝えるような取り組みも行なっております。
第11問目として、本市における青少年の英語交流はどのようなことを実施しているのか。

答え(国際文化交流課)
11 本市の海外姉妹都市であるアメリカのセーレム市とドイツのオッフェンバッハ市に、毎年交互に中学生を派遣する「海外姉妹都市訪問川越市中学生交流団』事業を実施しております。現地に滞在する1週間は、全泊ホームステイで、ホストファミリーとの会話は主に英語となります。そのため、本事業の事前研修では、地元の方々と積極的にコミュニケーションをとることができるように、本市の基本的情報や文化についても、改めて学ぶ機会をもうけています。
 ここ数年はコロナ禍により中止を余儀なくされましたが、令和6年度はまた事業を再開できるように、準備をしてまいります。
第12問目として、海外姉妹都市への中学生派遣事業の効果について伺いたい。

答え(国際文化交流課)
12 川越市と川越市姉妹都市交流委員会で主催しております本事業は、昭和62年の開始以来、30年以上継続して実施しており、これまでに500名を超える中学生が海外姉妹都市交流を経験してきました。令和2年度、これまでに事業に参加した派遣生440名を対象に実施した追跡アンケート調査では、84%の派遣生が「派遣事業での経験が、その後の生活や就職・進路の選択等に影響を与えた」と回答しています。
 また、アンケート調査でご協力いただいた派遣生をパネリストに迎え、令和3年度に「中学生シンポジウム2021globalな未来へ羽ばたく君へ」、令和4年度には「市政施行100周年記念シンポジウム」を開催し、現在グローバルに活躍する派遣生たちの体験談や、将来のキャリア形成や多文化共生の大切さについて意見を交わすことにより、国際交流の重要性を再認識し、共有するという成果を上げることができました。
 これらアンケート調査や派遣生の事例紹介などの取り組みが高く評価され、本年5月に総務省と一般社団法人自治体国際化協会が主催する「自治体国際交流表彰(総務大臣賞)」を受賞しました。この賞は、国際交流活動において優良事例の取り組みを行なっている自治体を全国から3団体表彰するもので、埼玉県下で初めて受賞したところでございます。
13問目として、NPOや民間のスクールでは、英語での観光ボランティアガイドに挑戦したい人向けの講座や観光地に赴いて訓練を行っているところもあり、大人も子供も楽しく学んでいます。川越や日本の文化歴史を英語で発信していける人材育成にどのように取り組んでいくのか伺いたい。

答え(観光課)
13 川越や日本文化歴史を英語で発信することができる人材育成の取り組みについてでございます。
 小江戸川越観光親善大使である「NPO法人英語の通じる街実行委員会」が主体となり、「第4期川越市英語ボランテイアガイド育成講座」と題して広報等を通じ、参加者を募ったうえで、16名の方が参加されました。今年の夏から秋にかけて行われた全14回の講義には、座学と実地の研修が組み込まれ、実地の研修の際には観光所管施設の使用や、外国人観光客が数多く訪れる川越まつりでは、その成果を発揮させるべく川越駅、本川越駅の校内に設置された臨時案内所において英語による案内の場の提供など、さまざまな形で人材育成の係る取り組みを支援しております。

12月議会での一般質問「広い視野や国際感覚を持ち川越の魅力を発信できる英語教育の推進 」その1

動画はこちらhttps://smart.discussvision.net/smart/tenant/kawagoe/WebView/rd/speech.html?council_id=50&schedule_id=4&playlist_id=2&speaker_id=0&target_year=2023&fbclid=IwAR1AX3E4TOfmdUwboX2ULL7QvG8wTCE_fgcc0aFsapUBaS7inia87NOeuS0

 今後、グローバル化が進むなか、どのような職業に就いても外国語が様々な場面で必要とされる可能性があります。児童・生徒にとって、国や郷土が育んできた伝統や文化を基に、広い視野を持ち、自分の考えや気持ちを英語で伝えていく力をつけることは重要なことです。いわゆるグローバルとローカルを掛け合わせたグローカル教育の推進、グローカル人材の育成です。

 ます始めに、日本の英語教育のレベルが落ちています。英語を母国語としない国・地域について2023年の「英語能力指数」ランキングという、スイスのEFエデュケーション・ファースト(EF Education First)による発表では、日本の英語力は世界111ヵ国中87位と下がっていて、若い世代の英語力低下が目立っています。

 日本の英語教育の課題として考えられるのは、学校では英語学習に取り組みながらも、英語を話す実践の機会が少ない、コミュニケーションの機会が乏しいということです。また、英語を学ぶ目的について、「大学受験のため」や「資格を取るため」等では、一時的ないしは限定的であり、その目的を達成した後の学習意欲の維持が困難であるということです。

 文科省では学習指導要領を改定し、英語科では目標設定として、国際的な基準であるCEFR(セファール)〜Common European Framework of Reference for Languagesの略〜という基準を参考に、「コミュニケーションを図る資質能力をバランスよく育成することや、領域統合型の言語活動を重視することにしました。ちなみにCEFR-A1というのは、例えば英検で言えば3級程度です。
 そんな中、川越の特性を生かすことで、つまり、身近に観光資源があり多くの外国人観光客が訪れる、また外国人の留学生が身近に多くいる、外国人と接しながら、自然に英語の勉強が楽しくなるような形での教育効果が期待できる、このような川越の素晴らしい地域特性を教育の中で活かせないかと考えています。

 市の財政の面からも、住みたい地域、移住したい地域として川越市が選ばれることは重要ですが、それには、教育が重要な要素の一つと考えます。さいたま市では、0~14歳の転入超過数が7年連続で全国第1位となっており子育て世代から選ばれ続けていますが、特に教育にも非常に力を入れていることでも有名です。そのさいたま市では独自の取り組みとして、小学校1年生~中学校3年生までの9年間一貫して学ぶ「グローバル・スタディ」という英語と社会科が一緒になったような教科の独自の取り組みを行っています。そこで川越市でも、地域社会や世界で活躍する「グローカル人材」を育てる英語教育を推進するために、まず初めに英語教育の現状についてお伺いいたします。
第1問目といたしまして、国が目指している英語教育はどのようなものでしょうか
答え(教育委員会) 
国が目指している英語教育についてでございます。国の第4期教育振興基本計画の中では、教育に関する5つの方針が示されており、その1つの中に「グローバル化する社会の持続的な発展に向けて学び続ける人材の育成」があり、外国語教育の充実等の基本施策が掲げられております。施策の成果を図る指標として、英語力について、中学校卒業段階では、実用英語技能検定3級取得程度の力を持っているとされるCEFR-A1レベル相当以上、高校卒業段階では、実用英語技能検定準2級取得程度の力を持っているとされるCEFR-A2レベル当以上を達した中高生の割合を、5年後までに6割以上にすることが示されています。
第2問目といたしまして、外国語活動や外国語科の授業では、外国語によるコミュニケーション能力をどのように育成しているのか。

答え(教育委員会)
 各学校では、学年に応じて、学習指導要領に示されている「聞くこと」「読むこと」「話すこと(やりとり)」「話すこと(発表)」「書くこと」と5つの領域について、様々な場面や状況等を設定した言語活動を行うことで、児童生徒が習得した知識や経験を生かし、自分の考えや気持ちなどを適切に表現できるコミュニケーション能力を育成しています。
第3問目といたしまして、指標となる中学校卒業段階で、CEFR-A1レベルの子供たちの割合は、直近3年間ではどのように推移しているのか。全国及び本市の状況について伺いたい。

答え(教育委員会)
中学校卒業段階で、CEFR-A1レベルの子供たちの割合について、文部科学省による「公立中学校英語教育実施状況調査」によりますと、新型コロナウイルス感染症の影響で実施しなかった令和2年度を除いた直近3年間の推移は、
 令和元年度は全国で42.0%、本市では41.3%
 令和3年度は全国で46.9%、本市では46.1% 
 令和4年度は全国で49.2%、本市では54.5% となっております。
第4問目といたしまして、本市の英語教育の課題について伺いたい。

答え(教育委員会) 
本市の英語教育の課題でございます。生徒の英語力について、CEFR-A1レベル相当以上の生徒の割合は、毎年上昇しているものの、第3次川越市教育振興基本計画における目標の70%には、まだ到達しておりません。
 児童生徒の英語力のさらなる向上に向けて、さらに教員の指導力向上を図り、授業を改善することが課題であると捉えております。特に、「話すこと」の領域に関わる言語活動において、児童生徒が、活発に自分の思いを英語で話したり、聞いたりする機会を充実させる必要があると考えております。
第5問目といたしまして、令和3〜7年度の川越市第三次教育振興基本計画がございまして、英語を母国語とする英語指導助手の配置事業や外国語活動、外国語科研究委員会、イングリッシュキャンプなどが盛り込まれています。そうした中、外国語活動の充実を図るために、第5問目といたしまして、本市で行っている外国語活動、外国語科研究委員会では、どのような検討を行ってきたのか伺いたい。

答え(教育委員会) 
 外国語活動、外国語科研究委員会で検討してきた内容についてでございます。本研究委員会は、市立小・中学校の英語教育を専門とする校長及び教頭の代表者、並びに外国語活動・外国語科を担当する教員の代表者6人で組織しており、本市の英語教育を推進し、児童生徒の英語力を高めるための検討を行っております。
 具体的には、授業研究会を行い「主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業の在り方」について検討し、授業モデルを作成して各校に示しております。また、授業で児童生徒のコミュニケーション活動を充実させるための方策や、英語指導助手の効果的な活用方法等について検討し、アイディア集やワークシートなどを作成し、各学校に配布、周知しております。
第6問目といたしまして、本市では、英語を母国語とする英語指導助手を授業の中でどのように活用しているのかお伺いしたい。

答え(教育委員会)
 授業では、児童生徒の英語に触れる機会を充実させるとともに、授業が実際のコミュニケーションの場面になるように英語指導助手を活用しております。
 具体的には、英語指導助手が、教師とのやり取りや発表の例文を児童生徒に行ってみせたり、発音のモデルとなり、児童生徒の発音を指導したりしております。また、児童生徒が学んだ表現を使って、英語指導助手と直接やり取りする場面を設け、英語を用いて主体的にコミュニケーションを図ることの楽しさや大切さを実際に体験できるようにしております。
 その他にも、児童生徒の発言や作文等の内容に対して助言したり、児童生徒との会話テストを行う際の相手役を行ったりすることもございます。
英語指導助手に対して、実際には英語の技能だけでなく、子供たちを指導する力や教育への情熱など、英語指導助手の力を引き出すためにどのような工夫をしているのか。また教員の側も英語指導助手の力を活用するために、どんな取り組みをしているのか、教員や英語指導助手の力を高めるための取り組みについて伺いたい。

答え(教育委員会)
教員や英語指導助手の力を高めるための取り組みについて。
 教員につきましては、大学教員等から外国語活動・外国語科の指導に関する専門的な知識・技能を学ぶ研修会や、市内で英語指導助手を活用したも模範的な授業を行っている教員の授業を参観し、研究協議を通じて授業の実践力を高めることを目的にした研修会を実施しております。また、外国語活動・外国語科研究委員会で作成した教材・指導資料等を活用したり、学校指導訪問等の際に直接教員に指導を行ったりすることで、授業力の向上につなげられるように取り組んでおります。
 また、英語指導助手につきましては、直接雇用の者については、教育センターにおいて毎月1回、研修会を実施し、「より良いティーム・ティーチングの在り方」や「より良い児童生徒との接し方」について、担当指導主事が指導したり研究協議を行ったりして、資質の向上を図っております。
 加えて、指導主事が全市立学校に英語教育推進訪問を実施し管理職や担当教員から活動状況等について聞き取りを行うとともに、授業等における英語指導助手の様子を参観し、英語指導助手のより良い活用に向けて各学校の外国語部会を充実させることなどについて、個別に指導助言を行っております。

その2に続く