日常生活、政治、子育て、教育、仕事、家族のあり方、スウェーデンの市民社会は、女性の視点からみたら、どのようになっているのでしょうか。私達一行(日本から4名、スウェーデンに住む女性5名)は、主に女性と教育という視点からウプサラ(Uppsala)市に居住し、勤務する人達を取材し、男女平等先進国と言われているスウェーデンの実情の一部を探ってきました。音楽は自作曲、虹の玻璃(チェロ:毛利巨塵、ピアノ小林範子)です。
ウプサラ市は、人口20万人。ストックホルムから電車で40分、古くから政治と宗教の中心地で、歴史あるウプサラ大学と教会が並びます。
最初におとづれたのは、ウプサラ郊外に住むMichael HakanssonさんMalin Vessbyさんのお宅です。お二人はサンボという事実婚のカップルです。二人には6歳と三歳の男の子がいます。ミカエルさんは高校の社会の先生、今は休職し、大学院に通っています。マリーンは元々陶芸家で、その上にジャーナリズムを勉強して、起業、今はストックホルムの会社で雑誌の編集長をしています。
日本経済新聞の記事よると、2011年20~64歳のスウェーデンの専業主婦の割合は2%、平均就業率は88%にのぼります。課税は個人単位ですが日本のような主婦に配慮した税制はありません。一方で、スウェーデンは出生率も日本より高く、一人の女性が生涯に生む子どもの数、合計特殊出生率は、1.89で、日本と1.43と比べて上回っています。
背景に、育児給付制度であるペアレント給付金が充実していることがあげられます。育児休暇は夫婦二人で480日の取得できそのうち、そのうち60日は譲渡不可なため男性の育児参加を後押ししています。また390日間は給与の8割が保障されています。
ご主人のミカエルさんです。スウェーデンでは育児休暇中の収入の80%の保障があり、その額を考えて、どれだけ自分たちで育児休暇をとるか決めるのですが、私たちの場合は、給料や育児休暇の保障をあまり考えずにそれぞれ1年間育児休暇をとって、2歳からプレスクールにあずけました。また子どもが生まれる時にも10日間追加して、20日間の休暇とりました。
12就業率と出生率をともに増加させているもうひとつの理由は待機児童ほぼゼロを可能にしている、プレスクールとよばれる幼稚園の存在です。教育省管轄下におかれ、子どもが生まれると早ければ1才から通わせることができます。3歳からは無料です。
スウェーデンでは、子どもは社会のものという考えもの1歳から通える教育のシステムがあります、女性の視点からみると、男女格差をなくす法制度を整え、賃金格差もなくし、全体として給付金と就学前教育が一体となって両親である男女の就労をも助けている姿が浮かびます。このようにして仕事と子育ての両立が可能になっているのです。次章では、子どもの自立心、男女平等、人種など民主主義を基礎にした教育がおこなわれているプレスクールを取材します。