ウプサラ市のカモミール幼稚園を取材。スウェーデンではプレスクールを教育省管轄下に置き、子どもが生まれると早ければ1才から通わせることができ、3歳からは無料。その組織の在り方や教育内容に密着しました。環境教育、民主主義、移民の文化など配慮した持続可能な教育とは。
スウェーデンではプレスクールを教育省管轄下に置き、子どもが生まれると早ければ1才から通わせるうことができます。3歳からは無料です。また、給付金と就学前教育が連続しているシステムになっていることがわかります。ウプサラ市バクサーラ地区のカモミーレン幼稚園に取材しました。(取材、編集 ナレーション、音楽 小林範子)
取材に応じてくださったこちらは、ウプサラ市ヴァークサラ地域プレスクール行政担当責任者(レーナ・エリクソン氏)、カモミールを含む2つのプレスクール園長(ヘレーネ・シェイセル氏)、カモミール幼稚園の教諭(エーヴァレー氏)です。
ウプサラ市バクサーラ地区プレスクールの組織、地区の統括的責任者(1名)プレスクール長(3名)は複数の園長を務めます。各ぷれスクールごと能力開発グループがおかれ、教育の機会均等が実現されます。教諭と保育士については、教諭は3年半の大学教育により与えられる教員資格保持者、保育士は高校の保育士養成課程を卒業するか、成人のための保育士養成講座を習得することが求められます。
伝統的ジェンダー固定観念を押付けないスウェーデン教育
プレスクールは、スウェーデンの教育政策の重要な一部であり、その指導内容は、学校法や教育指導要領によって定められています。さらに、市が提示する課題や父母からの要望に基づいてカリキュムを定められます。幼稚園が民主主義を原則として、持続可能な発展を目指して運営されているということは、日本の私たちからはおどろくべきことでした。
カモミーレン幼稚園での教育についてエヴァレーな先生にお聞きしました。カモミーレン幼稚園での重点に置いている目標は、すべての子どもを個人として尊重し、それぞれの長所を伸ばす教育をおこなうこと。集団行動の中ですべての子どもが発言する機会を保障されるよう心掛けること。そしてジェンダーについてオープンに話しあい、様々な家族形態があることを理解させ、子どもたちが遊びや話し合いの中で自由に自己表現できる環境を創出し、伝統的ジェンダー固定観念を押付けないことです。
たとえばジェンダー教育としては、女の子に赤いコップ、男の子に青いコップを持たせるということをさせないようにすることが大切です。さらには、他民族の文化を尊敬する意識を育てるために、移民の母国語とスウェーデン語双方を学び、またそれぞれの文化などにも注意を払います。
プレスクールのSDG’sとしての環境教育
また、カモミーレンで重点をおいているのが環境教育です。学習指導要領がでは、自然と環境の保護を大切にする姿勢を育てること、自らが生態系の一環であることの自覚を促し、現在及び将来の自然環境をより良いものにしていくための日常生活や活動の在り方を理解することが求められています。
基本的に毎日外遊びから1日が始まるのですが実践では、なるべく戸外で過ごす機会を確保し、自然変化や営みへの気づきやいたわる気持ちを育て、ます。、また、資源のリサイクルを実践し、自分たちが自然の循環の一員であることに気づきます。
戦略的な能力開発グループ方法として、教育学に基づいて学習環境の提供すること、 こどもの発言を残すなどの記録の保持すること、逆転発想(ある子どもが問題行動をした場合、子どもの問題性に注目するのではなく、引き起こした環境や状況の議論)することが求められています、これらは、一定期間ごとに視察と評価が行なわれ、さらなる改善が求められます。
カモミーレンでは査察で3つの指摘をうけました。ひとつは多言語性、つまりスウェーデン語以外を母国語とする子供への配慮や異なる文化への理解を促す取組みを増やすことへの指摘、二つめなジェンダーに関する取組え男女差や男女の特質等の固定観念を植え付けさせないようにすること、および集団構成の問題で、プレスクールでの子どもの生活集団が、それぞれが1歳から5歳まで年差のある子どもで構成されるのですがその構成の仕方に関して指摘を受けました。
プレスクールの基礎教育に遊戯、言語、算数、文化の継承
学校教育につながる基礎教育としては以下の事にとりくんでいます。数を意識し数の概念を体得する取り組み名前や身近な単語が文字に表されることを理解する取り組みなど具体的には。
①遊戯=歌、踊り、絵、演劇、スピーチ、筆記
②言語=スウェーデン語と母国語
③算数、環境教育、戸外散歩
④文化の継承ー移民の場合は母国も
同一のカリキュラムだが、各施設ごとに実践されます
さまざまな変装衣装で子どもたちは互いにユニークさを競う
お絵かきコーナー:では絵をかきたい子が自分で紙やクレヨン(チョーク)などを出して使って、自分で片づけるシステムで、日本のように一斉にお絵かきの時間ということはないようです。また、さまざまな変装衣装などがあり、子どもたちは互いにユニークさを競う。
まとめ スウェーデンのプレスクールは、人として生きてゆく上での最も重要な事柄を核とし、子どもも社会の宝として皆で育ててゆこうとする姿勢で貫かれています。ひるがえって日本の子育ては、保育所が不足し母親が孤立化しやすく、また幼少時から技能の習得など成果のみえやすい部分に注意がむけられがちであることをあらためて感じました。